ヨウ化カリウム(読み)ヨウかカリウム(英語表記)potassium iodide

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

化学式 KI。ヨウ化水素酸炭酸水素カリウムを作用させて製造する無色の立方晶系結晶。湿った空気中ではいくぶん潮解性を示す。比重 3.12,融点 680℃,沸点 1330℃。水,アルコールに可溶。水溶液は放置すると酸素により酸化され,ヨウ素を遊離し,黄色となる。写真乳剤,分析用試薬などに用いられる。消化管,皮膚から容易に吸収され,ヨウ素イオン甲状腺に集中する。甲状腺機能低下症の場合は機能を回復させ,バセドー病のような亢進症の場合には逆にこれを抑制する働きがある。そのほか,気管支粘膜分泌促進作用があり,去痰薬として使われたり,病的組織溶解作用のために第3期梅毒(→梅毒)の治療に使われることがある。副作用は急性中毒症状としては弱く,過敏性反応が現れる程度であるが,慢性中毒症状として眼粘膜,呼吸器粘膜などの浮腫皮疹,体重減少,全身衰弱などがある。複方ヨードグリセリンルゴール液)の場合,ヨウ化カリウムはヨウ素の溶解度を増し,ヨウ素酸の変化を防ぐ目的で用いられるものであり,薬効はない。養鶏用飼料などのなかにも 10~30ppm添加することもある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カリウムとヨウ素の化合物。ヨウ化水素のカリウム塩である。ヨードカリJodkaliともいわれるが正しい名称ではない。水酸化カリウム水溶液にヨウ素を溶かし、蒸発濃縮すれば得られるが、副生しているヨウ素酸カリウムKIO3を還元するために、さらに木炭を加えて加熱する方法が用いられる。

 3I2+6KOH―→5KI+KIO3+3H2O
 2KIO3+3C―→2KI+3CO2
 工業的にはヨウ素を鉄粉と反応させてヨウ化鉄Fe3I8とし、炭酸カリウムで処理する方法が行われる。無色の結晶で、水によく溶け、そのとき著しく吸熱する。水溶液は中性または微アルカリ性を呈し、ヨウ素を溶かす性質がある。ヨウ素化合物の原料となるほか、医薬として慢性関節炎、慢性リウマチ、神経痛、梅毒などの治療に用いられる。劇薬。

[鳥居泰男]

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化学辞典 第2版の解説

KI(166.00).炭酸カリウムとヨウ化水素酸との反応により得られる.無色の等軸晶系結晶.融点723 ℃.沸点1330 ℃.密度3.13 g cm-3.水に易溶,エタノール,メタノールに可溶,アセトンに微溶,エーテルに難溶.水溶液にはヨウ素が錯イオン I3 を形成してよく溶け,I3 は気散しない.ほかのヨウ化物の原料,写真用,医薬品,飼料添加物などに用いられる.ヨウ化カリウムデンプン紙として次亜塩素酸酸化還元滴定に外部指示薬として用いられる.[CAS 7681-11-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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