日本大百科全書(ニッポニカ) 「ライェ」の意味・わかりやすい解説
ライェ
らいぇ
Camara Laye
(1928―1980)
ギニアの小説家。鍛冶屋(かじや)の子に生まれ、回教学校からコナクリ工業高校を卒業、技師になるためにフランスに留学。苦学と貧困、孤独と不安にさいなまれながら郷愁の思いを小説に託した回想的自伝『黒い子ども』(1953、邦訳名『アフリカの子』)によって、アフリカ人最初の本格的小説家としての地位を固めた。帰国後「個人の自由」をめぐってセーク・トーレ大統領と意見が衝突、自宅拘禁状態に置かれ、1965年セネガルに亡命、ダカール大学回教研究所員となったが、80年に亡命の地で病没した。13世紀にマリ王国を建設した名君スンディアタ王の伝説を素材とした伝承文学『言葉の主』(1978)が絶筆となった。ほかに宗教的寓話(ぐうわ)小説『王の栄光』(1954)と『アフリカの夢』(1966)があり、詩的なイメージの美しさがその魅力となっている。
[土屋 哲]
『さくまゆみ子訳『アフリカの子――少年時代の自伝的回想』(1980・偕成社)』