ラドン(ギリシア神話)(読み)らどん(英語表記)Ladon

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラドン(ギリシア神話)」の意味・わかりやすい解説

ラドン(ギリシア神話)
らどん
Ladon

(1)ギリシア神話で100の頭をもつ竜。フォルキスとケト、あるいはティフォンエキドナの子。ヘスペリデスの園で黄金のリンゴを見張っていたが、これを盗みにきたヘラクレスにより殺された。(2)アルカディアを流れる美しい川、またその河神。オケアノステティスの子。一説にはダフネの父ともいう。ヘラクレスは、アルテミスの聖なる鹿(しか)をこの川のほとりで捕らえ、また牧神パンの急追を逃れたニンフシリンクスは、この川の岸辺で葦(あし)に変身した。そしてパンは、その葦でシリンクス(葦笛)をつくった。

[中務哲郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のラドン(ギリシア神話)の言及

【ヘスペリデス】より

…ニュクス(〈夜〉)の娘とも,ティタン神アトラスの娘ともされ,数も3人,4人,7人の諸説があって一定しない。〈ヘスペリデスの園〉には,ガイア(〈大地〉)がゼウスとヘラの結婚祝いに贈った黄金のリンゴのなる木があり,彼女たち姉妹は竜のラドンLadōnの助けを得てそれを守っていた。英雄ヘラクレスの12功業のひとつはそのリンゴを入手することであったと伝えられる。…

※「ラドン(ギリシア神話)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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