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リゴリズム rigorism

翻訳|rigorism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

リゴリズム
rigorism

厳格主義,厳粛主義と訳される。一般には規則,特に道徳的規則の厳守を主張する立場を総称し,禁欲主義や修道生活などをもさす。厳密には次の2つの立場をいう。まず 17~18世紀の道徳問題決疑論で神や教会の法を最も厳密に解釈する倫理神学者の立場。オランダでジャンセニストが蓋然論者に対する厳格主義者と呼ばれたのがこの言葉の初めとされる。もう1つはカントの実践哲学の立場で,道徳法則を尊重し,神や人に対する愛や嫌悪などではなく,ただ法則への尊重の念からそれを遵守することを求めること。カントはこれを禁欲主義や苦行と区別している。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

リゴリズム
りごりずむ
rigorism英語
Rigorismusドイツ語
rigorismeフランス語

厳粛主義、厳格主義。放任主義の反対。カントは、道徳説において善と悪とを峻別(しゅんべつ)する態度をリゴリズムとよび、なんらかの形でその中間をも認める立場を放任主義と名づけた。カントの場合、実践理性から発する定言的道徳法則のみが善の根拠であり、それ以外の行為を、自愛の原理に基づくものであるときめつけて、道徳的価値をいっさい認めないのであるから、当然リゴリズムの立場となる。一般には道徳的価値をすべて精神的なものに帰し、感性的なものを悪の根源とみなして排撃する立場をリゴリズムとよぶ。それゆえリゴリズムはまた享楽主義とも対比される。その点で著名なものに、ストア学派、ジャンセニスムがあり、いずれも禁欲的傾向を有する。カントの思想はこの傾向をもたないが、シラーはこの点を誤解し、次のような詩を書いた。
 私はすすんで友人たちのためにつくす。
 しかしあゝ喜びをもってそれをするのだ。
 そこで私は疑い悩む、自分は道徳的人間ではないのではないかと。[武村泰男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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