リソスフェア(読み)りそすふぇあ(その他表記)lithosphere

翻訳|lithosphere

デジタル大辞泉 「リソスフェア」の意味・読み・例文・類語

リソスフェア(lithosphere)

地球表層部の硬い岩盤。アセノスフェアの上にあって、地殻マントル最上部とからなり、厚さは海洋底で約70キロ、大陸でその2倍ぐらいであるが、地域により差がある。リソスフェアを十数枚に分割した一つ一つプレートという。もと気圏水圏に対し、地球の固体部分を漠然とさして用いられた。岩石圏

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精選版 日本国語大辞典 「リソスフェア」の意味・読み・例文・類語

リソスフェア

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] lithosphere ) 岩石からできている地球表層部。岩石圏ともいう。プレートテクトニックスでは、地殻と上部マントル一部をふくむ部分をいい、アセノスフェアよりも浅い地表までの部分。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リソスフェア」の意味・わかりやすい解説

リソスフェア
りそすふぇあ
lithosphere

岩石圏のこと。もともと、気圏や水圏に対して、地球の固体部分をさすかなり漠然とした概念であったが、現在では、地球表面を覆う厚さ100キロメートル前後の層をさすのが普通である。軟弱圏という意味をもつアセノスフェアに対し、強度が大きい層であることを表したものである。リソスフェアは、一般に地殻とマントルの最上部から構成されるが、その厚さにはかなりの地域差がある。大まかにいって、地殻熱流量が大きいほどリソスフェアが薄い傾向があり、たとえば、東北日本の下ではわずか30キロメートル程度しかないために、地殻のすぐ下にアセノスフェアが接しているとされている。海洋地域で年代とともにしだいに厚さを増すのも、著しい特徴である。プレートテクトニクスにおけるプレートとは、地球全体を覆うリソスフェアをいくつかに分割したものである。これらを同義とする解説もみかけるが、正確ではない。

[吉井敏尅]

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百科事典マイペディア 「リソスフェア」の意味・わかりやすい解説

リソスフェア

岩石圏とも。古くは地球を気圏,水圏,岩石圏の3圏に分けた一つを意味していたが,現在は固体地球最表層の,それ以下に比べて硬い層をさす。地殻・マントルという地球内部の構造区分とは別の概念である。海嶺軸部など一部の例外を除いて,ほぼ地殻+最上部マントルに当たる。厚さは数km〜約200km。このリソスフェアを剛体の板(プレート)と考えて,それらの相互作用として地球物理・地球化学的現象または地質現象を説明するのがプレートテクトニクスである。
→関連項目アセノスフェア気圏リフト帯

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リソスフェア」の意味・わかりやすい解説

リソスフェア
lithosphere

地球表面の地殻と最上部マントルからなる硬い層。岩石圏,岩圏ともいい,また地球の表層を動く地塊であるプレートに相当する(→プレートテクトニクス)。海洋で約 10~100km,大陸で約 100~200kmの厚さがあるといわれ,より高温で流動性のあるアセノスフェアの上に載り,年間 5~10cmの速度で移動する。リソスフェアにおける地殻とマントルの間にはモホロビチッチ不連続面モホ面)と呼ばれる明確な境界があるが,マントル上部におけるリソスフェアとアセノスフェアの境界は曖昧である。

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知恵蔵 「リソスフェア」の解説

リソスフェア

地殻と硬いマントル最上部からなる岩石圏。地球表層部を占め、ブロックに分かれて水平移動しているプレートに相当。この下の深さ70〜250kmに地震波速度が遅く伝わる低速度層があり、そこは温度が異常に高いかまたは部分溶融していると考えられ、アセノスフェア(岩流圏)と呼ばれる。リソスフェアはこの軟らかいアセノスフェアに乗って移動し、時には沈み込んで地震活動や火山噴火を起こす。

(斎藤靖二 神奈川県立生命の星・地球博物館館長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内のリソスフェアの言及

【海底地形】より

…海洋底では花コウ岩質層を欠き,薄い堆積層の下に玄武岩質層があって,厚さは平均7km,比重は大きい。マントルは地下60~90kmを境にして,上部は硬いリソスフェア,下部は軟らかいアセノスフェアに分けられる。プレートとはこの地殻とリソスフェアを合わせた部分のことで,海洋底では海洋地殻を有する海洋プレート,大陸地域では大陸地殻を有する大陸プレートとなっている。…

【岩石】より

… マントル上部の深さ数十~百数十kmには地震波の伝搬速度が遅くなる層があり,それを低速度層と呼んでいる。この低速度層より上部の地殻とマントル最上部とを合わせてリソスフェア(岩石圏)と呼んでいる。低速度層には部分的に少量液が存在しているらしい。…

【プレートテクトニクス】より

…その後,現実の地球表層の現象と理論との対応がしだいに詳しくかつ具体的になるにつれて,プレートの厚さや密度,かたさ,組成,温度などが議論されるようになってきた。この結果,少なくとも海洋については,リソスフェアlithosphere(岩石圏)として定義された層がプレートの実体であることが明らかになり,その物性も含めて議論する場合には,リソスフェリック・プレートlithospheric plateという表現も使われるようになった。 プレートを動かす潤滑油に相当する層がアセノスフェアasthenosphere(岩流圏)である。…

【マントル対流】より

… 新しいマントル対流観は(3)の認識の上に立って,移動する海底自体に働く重力の作用をマントル対流の主要な原動力の一つとみなす。中央海嶺の中軸で生まれ,厚さを増しながらほぼ水平に移動し,ついには海溝からマントル深部へ沈み込む厚さ有限の,冷えて硬い海底の板を海底のリソスフェア(岩石圏)と定義すると,リソスフェアはその下の部分的に溶けて軟らかい層(これはアセノスフェアと名付けられている)に比べて地震波速度がはやく,地震波はなかなか減衰しないことが観測から確かめられている。この硬いリソスフェアは密度もアセノスフェア上部より大きいことが重力均衡からも推定されている。…

※「リソスフェア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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