リンパ節炎(読み)リンパせつえん(英語表記)lymphadenitis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

リンパ節炎
リンパせつえん
lymphadenitis

リンパ節の炎症。急性と慢性に分けられる。頭部,頸部,上下肢の化膿巣などからリンパ管を介してその所属リンパ節に病原菌が達し,炎症が起る。化膿していない段階を急性単純性リンパ節炎といい,化膿したものを急性化膿性リンパ節炎という。腋窩や鼠径部のリンパ節炎は,ぐりぐりを触れることで容易にわかる。感染の原病巣を治療するとともに抗生物質の投与,安静と湿布,化膿部位の切開排膿などを行う。慢性単純性リンパ節炎は小児に多い。数個のしこりを触れるが,圧痛もほとんどなく,予後はよい。結核菌による慢性リンパ節炎は頸部に多く,頸部リンパ節結核 (るいれき) と呼ばれる。数個のリンパ節が無痛性にはれ,しばしば癒着して腺塊をつくり,ついには皮膚に特有な瘻孔,潰瘍を形成するもので,発熱や局所熱感は少い。

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百科事典マイペディアの解説

リンパ節炎【リンパせつえん】

リンパ節(腺)への細菌や毒素の侵入によって起こる急性または慢性の炎症。急性症の多くは四肢の化膿,扁桃炎中耳炎乳腺炎に続発し,その所属リンパ節がはれて痛み,高度のものでは膿瘍(のうよう)を形成する。原発病巣の治療とともに局所冷湿布,抗生物質投与を行う。慢性症では,リンパ節は徐々にはれ,痛みは少ない。単純なものでは治療は急性症に準じるが,最も多くみられ,なおりにくいのは結核性のもので,頸部・気管支・腸間膜・腋窩(えきか)などのリンパ節に起こり,特に頸部に頻発(ひんぱつ)する。→瘰癧(るいれき)
→関連項目トキソプラズマ

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家庭医学館の解説

りんぱせつえん【リンパ節炎 Lymphadenitis】

[どんな病気か]
 急性と慢性のリンパ節炎があります。
 急性リンパ節炎は、細菌の感染などによってリンパ管に炎症がおこり、リンパ管とつながっているリンパ節に急性の炎症がおこってくるものです。
 たとえば、足に傷ができ、そこから細菌が侵入して足のつけ根(鼠径部(そけいぶ))のリンパ節が腫(は)れて痛くなるなどがその例です。
 リンパ節は、からだのいろいろな部位に存在していますが、急性リンパ節炎がおこりやすいのは、頸部(けいぶ)、腋窩(えきか)(わきの下)、鼠径部などにあるリンパ節で(図「炎症がおこりやすいリンパ節」)、炎症がおこるとリンパ節が腫れて(リンパ節腫脹(せつしゅちょう))、押すと痛みます。
 リンパ節炎が悪化すると、化膿(かのう)することもあります。また、炎症が周囲の組織におよぶことがあり、節周囲炎(せつしゅういえん)になることもあります。
 慢性リンパ節炎は、リンパ節炎が長く続いている状態で、弱い刺激がくり返しリンパ節に加わっているためにおこることもありますし、急性リンパ節炎が治りきらずに慢性化しておこることもあります。
 慢性リンパ節炎のなかでも多いのは、肺結核(はいけっかく)(「肺結核」)にともなっておこる結核性リンパ節炎と、トキソプラズマ症(「トキソプラズマ症」)にともなっておこる慢性リンパ節炎です。
■結核性(けっかくせい)リンパ節炎(せつえん)
 結核にかかるとリンパ節にも病変がおよぶことがしばしばです。1個または数個のリンパ節が腫れてきますが、痛みはありません。腫れたリンパ節どうしがたがいに癒合(ゆごう)し、かたまりになってきます。
 リンパ系のがんである悪性(あくせい)リンパ腫(しゅ)とは腫れ方がちがうのですが、ときに鑑別がむずかしいことがあります。
[治療]
 原因となっている部位の治療が優先しますが、炎症がおさまるまで全身の安静を保つようにし、腫れたリンパ節は冷やします。
 抗生物質の使用が必要なことが多いので、医師の診察を受けましょう。ときには、リンパ節を切開して膿(うみ)を出さなければならないこともあり、そのときは外科への受診が必要になります。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

リンパ節炎
りんぱせつえん

生体の防衛機構の一つであるリンパ節に細菌や毒素が取り込まれると防衛反応がおこるが、その反応の程度が強くて局所的な腫脹(しゅちょう)や疼痛(とうつう)などを伴った場合をリンパ節炎という。急性炎症と慢性炎症に分けられる。
 急性炎症には非化膿(かのう)性炎症、化膿性炎症、化膿性蜂巣織(ほうそうしき)炎症などがある。原因は通常、ブドウ球菌や連鎖球菌などの細菌であるが、ウイルスや原因不明の場合もある。また、体のある部位に炎症がおこると、その周辺の特定のリンパ節が腫(は)れ、ときには痛みがおこる。たとえば、淋疾(りんしつ)では大腿(だいたい)の付け根にある鼠径(そけい)部リンパ節炎がおこる。治療としては抗生物質の投与などを行い、化膿すれば外科的に切開排膿する。
 慢性炎症は毒力の弱い菌の慢性的刺激によっておこるが、急性炎症から移行することもある。腺病(せんびょう)質の小児では発熱に続いて頸(けい)部リンパ節の慢性腫脹がみられることもある。治療としては急性炎症と同様、原因となっている細菌などに対する抗生物質投与などとともに、対症療法を行うほか、小児の場合は体力をつけて抵抗力の増強を図るようにする。[折田義正]

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世界大百科事典内のリンパ節炎の言及

【リンパ管炎】より

…リンパ管の炎症をいい,リンパ節の炎症はリンパ節炎lymphadenitisという。 リンパ管炎には急性のものと慢性のものとがあり,急性炎症はさらに毛細リンパ管炎とリンパ幹管炎とに区別される。…

※「リンパ節炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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