リン化インジウム(読み)リンカインジウム

化学辞典 第2版 「リン化インジウム」の解説

リン化インジウム
リンカインジウム
indium phosphide

InP(145.79).インジウムリンともいう.Inとリンとを,封管中または不活性気体や H2 中で加熱反応させるか,InとPCl3またはP2O5高温に加熱するか,In2O3またはIn2(C2O4)3とPH3を高温で反応させると得られる.金属光沢のある無色~灰色の立方晶系結晶せん亜鉛鉱型構造.融点1070 ℃.比誘電率10.8.Ⅲ-Ⅴ半導体で,バンドギャップ1.28 eV(330 K).空気中で安定である.水や無機酸に侵されにくい.アルカリ水溶液と加熱すると,ホスフィンを発生して分解する.半導体レーザー発光ダイオード,IC材,太陽電池素子などに用いられる.[CAS 22398-80-7]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リン化インジウム」の意味・わかりやすい解説

リン化インジウム
リンかインジウム
indium phosphide

III族元素のインジウム InとV族元素のリンPとの化合物で,閃亜鉛鉱型の結晶構造をもつ。化学記号は InPで,青灰色の結晶。ヒ化ガリウムより電子の走行速度が高く,電界効果トランジスタや,インジウム,ガリウムヒ素,リン四元の半導体によるレーザーを成長するための基板に適していることなどから,近年注目されている半導体である。結晶の作製がむずかしく,その良質化が望まれている。インジウム・リンとも呼ばれる。 (→III-V族化合物半導体 )

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