ルアーブル(英語表記)Le Havre

翻訳|Le Havre

デジタル大辞泉 「ルアーブル」の意味・読み・例文・類語

ル‐アーブル(Le Havre)

フランス北西部、セーヌ川河口の北岸にある工業都市。大貿易港をもち、大西洋航路の発着地。石油化学工業が盛ん。2006年、市街一部が「ルアーブル、オーギュスト=ペレによる再建都市」として世界遺産文化遺産)に登録された。

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精選版 日本国語大辞典 「ルアーブル」の意味・読み・例文・類語

ルアーブル

  1. ( Le Havre ) フランス北部、セーヌ川の河口北岸にある港湾都市。同国屈指の大貿易港で大西洋航路の発着地。造船石油精製などの工業も盛ん。一五一七年に開港

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改訂新版 世界大百科事典 「ルアーブル」の意味・わかりやすい解説

ル・アーブル
Le Havre

フランス北部,セーヌ・マリティム県の都市。セーヌ川の河口にある大貿易港で,人口19万0905(1999)。1517年フランソア1世により開港されて以来,発展を重ね,第2次大戦では港湾,市街の大部分を破壊されたが,戦後は大規模な都市計画によってフランスの最も近代的な町の一つとして復興した。造船業,航空機,機械工業のほか,石油化学工業の発展が著しい。港には20万トン級のタンカーが接岸できるほか,近郊のポール・ジェロームの石油精製工場はフランス第一の規模をもち,石油はパイプラインでパリやベルギー方面に送られている。原油,天然ガス,非鉄金属,ゴム,綿花,コーヒーなどの輸入,工業製品の輸出量が多く,フランスではマルセイユに次ぐ貿易額を示す。また大西洋航路や,ドーバー海峡を越えるイギリス航路の出発港にあたっており,年間の旅客数は50万人以上に達する。ル・アーブルの東26km,セーヌ川右岸の町タンカルビルとは運河で結ばれるほか,1959年にはセーヌ川を自動車道路でまたぐタンカルビル橋も開通し,工業のいっそうの発展がみられる。95年にはタンカルビル橋よりも下流の河口近くにノルマンディー橋が完成し,より便利になった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルアーブル」の意味・わかりやすい解説

ル・アーブル
るあーぶる
Le Havre

フランス北西部、セーヌ・マリティーム県の臨海工業都市。人口19万0905(1999)、17万2366(2015センサス)。パリ北西180キロメートル、セーヌ川の河口右岸に位置し、イギリス海峡に臨む。地中海のマルセイユと並ぶ大貿易港を有し、1517年のフランソア1世による開港以来繁栄し続け、いまでは北米・中南米航路の起点となっている。港から石油をはじめとする工業原料、熱帯作物などを輸入し、工業製品を輸出する。大西洋横断の輸送量は減少傾向にあるが、輸送旅客数は多い。貿易額はマルセイユに次ぎフランス第2位。セーヌ川の上流約88キロメートルに河港をもつルーアン以西の石油化学工業を中心とするバス(低)・セーヌ工業地帯に属し、造船、石油化学、鉄鋼、火力発電、熱帯材の加工、食品、繊維などの工業が港湾活動に結び付いて発達している。しかし、北方28キロメートルのアンチフェールAntiferに石油基地が建設されたため、工業活動の中心が北へ移動しつつある。鉄道、道路、海路、河川交通、航空路に恵まれ、パリにも近接しているため、工業化の進展が著しい。セーヌ川上流約29キロメートルのタンカルビル橋Pont de Tancarville(1959開通)との間には運河も通じている。第二次世界大戦では市街地の大半が破壊されたが、建築家オーギュスト・ペレの都市計画により復興され、近代的な姿となった。小説家ベルナルダン・ド・サンピエール、画家デュフィらの生地。

[高橋伸夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルアーブル」の意味・わかりやすい解説

ルアーブル
Le Havre

フランス北西部,イギリス海峡に面するセーヌマリティム県の海港都市。セーヌ川河口北岸に位置する。アメリカ,イギリス,アフリカなどへの航路の起点。綿花,コーヒー,ココア,非鉄金属,ゴム,天然ガス,石油などの輸入港,工業製品の輸出港として繁栄し,その貿易額はマルセイユに次いでフランス第2位を占める。 1517年フランソア1世が漁村であったこの地に港を建設してル・アーブル・ド・グラース (恵みの港) と命名したのが町の起源で,捕鯨,タラ漁などの基地として発展。 17世紀にリシュリュー公の命で要塞化され,さらに 18世紀にルイ 16世によって港が整備され,第一級の海軍基地となった。第2次世界大戦で港湾,市街とも大半を破壊されたが,オーギュスト・ペレの都市計画によって再建され,戦前をしのぐ大都市となった。戦後の都市再建計画の傑出した例として,2005年世界遺産の文化遺産に登録された。工業も盛んで,造船,金属,自動車,食品,化学などの諸工業が行なわれ,特に石油工業の発達が著しい。聖ジョゼフ教会,印象派絵画の収集で知られる美術館などがある。人口 17万8769(2008)。

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百科事典マイペディア 「ルアーブル」の意味・わかりやすい解説

ル・アーブル

フランス北部,セーヌ・マリティーム県の都市。セーヌ川河口北岸,イギリス海峡に臨む港市。マルセイユに次ぐ港で,大西洋航路の発着点。石油の輸入港として有名。造船,機械,製油,化学,セメント,自動車,食品などの工業が行われる。1517年フランソア1世が築港,19世紀初めから貿易港として発展,第2次大戦で大被害を受けた。画家デュフィの生地。19万5854人,都市圏人口25万人以上(1990)。
→関連項目ノルマンディー

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世界大百科事典(旧版)内のルアーブルの言及

【セーヌ[川]】より

…また河口からルーアンまでは感潮河川となる。河口のキルブフからはエスチュアリー(三角江)となり,右岸には大貿易港ル・アーブル,左岸には古くからの港町オンフルールが開ける。 勾配がゆるやかなこと,水量が豊かで安定していることから,セーヌ川は水運に重要な役割を果たし,とくにルーアンからモントローまでは川に並行する運河もつくられて,3000トンまでの船の航行が可能である。…

※「ルアーブル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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