翻訳|leverage
企業が借入金・社債など固定的支出を要する負債を用いること,または機械・設備など固定費のかかる資産を利用すること。これらは〈てこlever〉のように業績変動を拡大する働きをするので〈てこの作用leverage〉と呼び,とくに前者を財務レバレッジ,後者を営業レバレッジという。
企業が一定額の資本投下によってある総資本営業利益率をあげうるとき,資本調達に際して負債(固定的利子支払を要する)と自己資本(営業利益から利子を控除した残余利益を受け取る)とをどれだけの割合にするかによって,自己資本利益率が影響を受ける。つまり,負債の割合が大きいほど,営業利益率の水準(リターンという)に比して自己資本利益率の水準が高くなる反面,営業利益率の変動(営業リスクという)が拡大されて自己資本利益率の変動はそれ以上に大きくなる。この変動の増分は,負債の利用という財務上の理由によるものなので,財務リスクと呼ばれる。自己資本利益率のリスク,リターンに対する負債のこの影響をレバレッジ効果という。財務レバレッジの指標としては,自己資本比率(=自己資本/総資本),負債比率(=負債/自己資本)などがよく用いられる。
ある製品の販売価格,単位当り変動費および総固定費が一定であるとき,生産水準が高く売上高に対する固定費の割合が小さいほど,生産量変化による利益の変動率は小さく業績が安定する。固定費(機械・設備などを利用することから生ずる,生産量に関係なく一定の費用)が果たすこの役割のことを営業レバレッジと呼び,その程度は次の比率で表される。
生産量が損益分岐点に近いほどこの比率は大きく,利益の変動率が大きいことを表す。
執筆者:若杉 敬明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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正式には財務的レバレッジといい、企業の資本構造(自己資本と他人資本=負債との比率)が自己資本利益率に対して、てこ(レバレッジ)のように作用することをいう。このてこの強度は、次の式で示される。
総資本営業利益率+(総資本営業利益率-利子率)×負債÷自己資本
環境が良好で経営が順調であれば、総資本営業利益率は利子率よりも高いから、負債が大きいほど有利である。反対に環境が悪化したり過大投資のような状態になって、総資本営業利益率が利子率を下回ると、負債が大きいほど赤字が加速される。
[森本三男]
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