レーザー光は単一波長のため,拡散度が少なく,密度が高いので高エネルギーをもつ。この特性を医学的に応用したものがレーザーメスで,光線のもつ熱エネルギーで組織を切開するものである。レーザーの医学への応用は,1963年のルビーレーザー光を用いた網膜の光凝固法が最初で,70年以後,アルゴンレーザーが実用化されてから,光凝固もアルゴンレーザーが用いられるようになり,他の領域でもメスとして用いられるようになった。現在,レーザーメスとして用いられているレーザーには炭酸ガスレーザーとNd-YAGレーザーとがある。炭酸ガスレーザーは水に吸収されるため,切除部分以外を湿したガーゼなどで覆っておけば,余分な損傷を起こさずにすみ,脳外科領域でよく用いられている。Nd-YAGレーザーも,組織を凝固させるので,止血効果がよく,出血量を外科メスの半分以下に抑えることができる。また内視鏡に応用したレーザー内視鏡も開発され,気管,気管支,消化管,膀胱などにできた腫瘍を焼灼,蒸発させることなどに用いられている。
→メス
執筆者:小野 美貴子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…最近は,速中性子線,陽子線やγ線,さらに,重イオン粒子線などのいわゆる高LET放射線が研究応用され,癌治療へ大きく寄与しつつある。 また,レーザー光の強力なエネルギーを利用して,生体組織を切開したり,あるいは組織や血液の凝固を行うレーザーメスやレーザーコアグレーターが開発され,各種疾患の治療に利用されている。 生体機能を補助あるいは代行する装置はいわゆる人工臓器とよばれるもので,脳,胃および一部の内分泌器官を除いた生体のほとんどすべての臓器の人工化が研究され,その一部は臨床応用されて,従来は絶望的であった患者の生存,さらに社会への復帰に貢献している。…
…網膜剝離に対しレーザーを用いると瞳孔を通して眼底の手術ができ,すばらしい治療効果をあげている。また外科用のレーザーメスは切開と同時に血管凝固による止血が行われ,無接触で手術ができる。出力10~100WのYAGレーザーや炭酸ガスレーザーが用いられる。…
※「レーザーメス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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