「ろう」以外の活用形はなく、完了の助動詞「つ」に付いた「つろう」、推量の助動詞「うず」に付いた「うずろう」の例がかなり多い。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
一価アルコール(ときには二価アルコール)の脂肪酸エステルで、ワックスともいう。しかし名称では、習慣上、この化学的な区別に準拠しないものがある。たとえば、抹香鯨油(まっこうげいゆ)は脂肪油ではなくて液体ろうであり、木ろうはろうではなくて脂肪である。ろうは、液体ろう、動物性固体ろう、植物性固体ろうに分類される。
[福住一雄]
液体ろうは少数で、抹香鯨油、槌鯨(つちくじら)油はこれに属する。
抹香鯨油は、マッコウクジラの頭蓋(とうがい)中の脂肪様物質を冷却して析出する固体(鯨(げい)ろうという)を除去して得られる液体ろうである。セチルアルコールおよびオレイルアルコールの脂肪酸エステルが主成分。酸敗しにくく、温度変化による粘度変化が小さく、精密機械の潤滑油として用いられる。また、けん化して得る高級アルコールは合成洗剤の原料となる。槌鯨油の性状、用途は抹香鯨油と似ている。しかしオレイルアルコールの含有量が多く、70%以上に達する。
[福住一雄]
鯨ろうは、抹香鯨油およびツチクジラの脳油を冷却して得た析出物を分離して採取する固体ろうである。みつろうは、ミツバチの巣から蜂蜜(はちみつ)を採取した残渣(ざんさ)を加温圧搾あるいは溶剤抽出して得られる暗赤色あるいは暗褐色固体である。
イボタろうは、イボタノキの寄生虫イボタロウムシが分泌する黄色を帯びた白色固体物質である。融点80~83℃。主成分はセロチン酸セリル。つや出し料などに使用される。羊毛脂は、原毛の精練液に無機酸を添加して得る粘着性物質である。精製したものをラノリンと称する。
[福住一雄]
植物の幹、葉、果皮などの表面に広く分布しているが、量は少ない。カーナバろう、モンタンろうなどがある。
カーナバろうは、ブラジルに産するカーナバ樹(ロウヤシ)の葉の上に析出する帯黄緑色のろうである。もっとも固いろうとして知られている。不けん化物55%程度。主成分は炭素数26~34のアルコールおよび脂肪酸からなるろうエステルである。その硬度を利用して、つや出し料やラッカーなどに用いられる。モンタンろうは、褐炭から得られる黒色のろうである。つや出し料として用いられる。
[福住一雄]
一般には,脂肪酸と高級一価アルコールの固形エステルをいう.しかし,マッコウ鯨油のように化学的組成からはろうに属するにもかかわらず,常温で液状であるために油というものもあり,また木ろうのようにグリセリドでありながら,外観がろうに似ているのでろうとよぶものもある.エタノール,クロロホルムなどに可溶,水に不溶.ろうは大別すると次のようになる.
このほかに,石油精製プロセスで分離されるパラフィン分を主体とした石油ろうとよばれるものがある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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