ロモノーソフ(英語表記)Mikhail Vasil'evich Lomonosov

デジタル大辞泉 「ロモノーソフ」の意味・読み・例文・類語

ロモノーソフ(Lomonosov/Ломоносов)

ロシア連邦北西部、レニングラード州の都市。旧称オラニエンバウムサンクトペテルブルグの西約40キロメートル、フィンランド湾南岸に位置し、沖合にコトリン島が浮かぶ。18世紀初めにピョートル1世から土地を与えられた重臣アレクサンドル=メンシコフが植物園が付属する宮殿を建築。その後、皇太子ピョートル(後のピョートル3世)やエカチェリーナ2世の離宮となった。1948年に科学者ミハイル=ロモノーソフにちなみ、現名称に改称。作曲家イーゴリ=ストラビンスキーの生地。ロモノソフ。

ロモノーソフ(Mikhail Vasil'evich Lomonosov)

[1711~1765]ロシアの科学者・文学者。質量不滅の法則を発見するなど、広い分野で多くの業績がある。また、ロシア文語の先駆者で、作詩理論を発展させ、頌詩しょうし・詩劇などの作品も残した。

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精選版 日本国語大辞典 「ロモノーソフ」の意味・読み・例文・類語

ロモノーソフ

  1. ( Mihail Vasil'jevič Lomonosov ミハイル=ワシリエビチ━ ) ロシアの詩人・科学者・言語学者。近代ロシア文語の創造端緒を開き、ロシア詩法に理論的根拠を与えた。頌詩にすぐれ、科学者としても多方面に活躍し、ロシア自然科学の祖と称される。著書「ロシア作詩法に関する書簡」「エリザベータ=ペトロブナ女帝即位の日によせて」など。(一七一一‐六五

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改訂新版 世界大百科事典 「ロモノーソフ」の意味・わかりやすい解説

ロモノーソフ
Mikhail Vasil'evich Lomonosov
生没年:1711-65

ロシアの学者,詩人。白海沿岸のアルハンゲリスク県の寒村(現在名ロモノーソボ)の漁夫の子として生まれ,苦学してモスクワスラブ・ギリシア・ラテン学院ペテルブルグのアカデミー大学で学んだのち,1736-41年,ドイツに派遣されてマールブルクフライブルクなどの大学で自然科学を修めた。帰国後,科学アカデミーの物理学の助手となり,45年からはロシア人として最初の教授兼アカデミー会員に選ばれて化学を担当した。55年モスクワ大学を創設し,同大学学長になった。58年以降,ロシア科学アカデミーの地理学部門を主宰,北極海を横断して太平洋に至る探検唱道,計画し(1763),その実現に至るまで長く影響を与えた。晩年にはスウェーデンボローニャの各科学アカデミーの名誉会員に選出された。

 啓蒙期によく見られる学芸百般に秀でた人物で,自然科学の分野では,フランス人ラボアジエに先立って質量保存の法則を確立し,従来の熱素の概念を否定して熱力学の成立に寄与する原理を唱え,高性能の望遠鏡を発明して金星の大気を発見した。さらに,いなずまやオーロラなどの現象を科学的に解明したほか,土壌,鉱物,冶金等々についても先駆的な研究や実験を行った。一方,人文科学の分野では,ロシアの起源をめぐってドイツ系の歴史学者の唱えたノルマン説に反駁(はんばく)を加え,また《ロシア文法》(1755)を著し,作詩理論を発展させ,文学作品のジャンルに応じて高,中,低の三文体を使い分けるべきことを当時のロシア語に即して定式化し,《神の偉大さについての朝の瞑想》(1751)をはじめとする頌詩(しようし),抒情詩,寓話詩,悲劇《タミラとセリム》(1750)などの作品を残した。
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百科事典マイペディア 「ロモノーソフ」の意味・わかりやすい解説

ロモノーソフ

ロシアの詩人,学者。哲学,自然科学,修辞学など多面にわたる才能で知られ,ロシア科学の基礎を築いた人物とみなされる。ロシア文章語の改革者としても功績があった。詩人としては古典主義的な頌詩(しょうし)にすぐれたものが多く,《エリザベタ女帝の即位に寄せて》(1749年),《神の偉大さについての夕べの瞑想》などが代表作。科学の面では,燃焼の定量的実験を行ってラボアジエに先だって質量不変の法則に到達,フロギストン説に反対した。また化学変化を原子的現象としてとらえ,気体分子運動論により熱を粒子の運動に帰した。モスクワ大学の創設に尽くし,1755年同大学総長。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ロモノーソフ」の解説

ロモノーソフ
Mikhail Vasil'evich Lomonosov

1711~65

ロシアの学者,詩人。漁夫の子。モスクワとペテルブルクで学んだのち,留学。1745年ロシア人最初の科学アカデミー会員になる。55年モスクワ帝大を創立,学長。自然科学と人文科学の双方に業績を残した。

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