[解説] 英語のTo kill two birds with one stone.に由来する表現です。英語では慣用句ですが、日本語ではことわざとみなされ、日英語のことわざ感覚の違いが典型的に現れる例といえます。幕末から英和辞典に収載され、明治期には「一挙両得」または「一石を以て二鳥を殺す」と訳されていました。後者が大正期に短縮され、四字熟語の形になりましたが、「泥棒を見て縄を綯う」を「泥縄」というのと同じで、全文口にするのがまどろっこしくなって、略したものでしょう。最初は学生が仲間うちで用い、のちに一般に広まったものと思われます。今日では、「一挙両得」よりも多用され、「一石三鳥」などと応用することもあります。