七条仏所(読み)シチジョウブッショ

デジタル大辞泉 「七条仏所」の意味・読み・例文・類語

しちじょう‐ぶっしょ〔シチデウ‐〕【七条仏所】

定朝じょうちょうの子といわれる覚助かくじょを祖とする仏所京都七条にあった。鎌倉時代運慶慶派仏師活躍江戸時代に至るまで勢力をふるった。

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精選版 日本国語大辞典 「七条仏所」の意味・読み・例文・類語

しちじょう‐ぶっしょ シチデウ‥【七条仏所】

〘名〙 定朝の子覚助に始まる京都の仏所。平安末期から鎌倉時代にかけて、康慶・運慶・湛慶などの名匠が出て他の諸仏所を押えて、勢力をふるった。この派の仏師は名に慶の字を付すものが多いので慶派とも呼ばれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「七条仏所」の意味・わかりやすい解説

七条仏所
しちじょうぶっしょ

鎌倉時代に活躍した仏所。定朝(じょうちょう)の子覚助(かくじょ)に始まり、その子頼助(らいじょ)から奈良に移り、鎌倉時代に入って運慶(うんけい)、快慶(かいけい)、湛慶(たんけい)らの名工を生んだ。慶の字を用いる仏師が多いので、慶派ともよばれ、のちに京都七条に仏所を構えたので、七条仏所と名づけられている。

[佐藤昭夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「七条仏所」の意味・わかりやすい解説

七条仏所
しちじょうぶっしょ

定朝の子と伝えられる覚助が,平安時代後期に京都七条に創設した仏所。定朝の正系を受継いだ仏所とされ,覚助,頼助,康助,康慶,運慶,快慶,湛慶の系譜が知られる。康慶以後,名に慶の字を用いるものが多いので後世慶派と称する。平安時代から鎌倉時代にかけ康慶,運慶,快慶などが東大寺,興福寺の復興造仏事業に活躍して以後,円派,院派の仏師を圧する一大勢力となった。復古的な作風を基礎として,新しく剛健で,写実に徹した彫技を特色とする。室町時代以後は造仏の減少に伴い次第に衰微したが,江戸時代まで存続した。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「七条仏所」の解説

七条仏所
しちじょうぶっしょ

慶派のこと。京都の七条に仏所を構えていたことに由来する。ただし,運慶が東寺大仏師職を得て,京都で活動するようになった当初から七条に仏所がおかれていたかは不明で,七条仏師の肩書史料に現れるようになるのは室町時代以降のことである。七条仏所は明治初期まで存在する。

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旺文社日本史事典 三訂版 「七条仏所」の解説

七条仏所
しちじょうぶっしょ

平安・鎌倉時代,京都七条にあった仏像の製作所
平安中期,仏師定朝の子覚助に始まるという。鎌倉時代に奈良仏師の系統をひく運慶一派がここで活躍。湛慶・快慶らの名匠を輩出した。また,ここの仏師を慶派ともいう。

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百科事典マイペディア 「七条仏所」の意味・わかりやすい解説

七条仏所【しちじょうぶっしょ】

慶派

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世界大百科事典(旧版)内の七条仏所の言及

【慶派】より

…定朝の子の覚助(かくじよ)(?‐1077)に始まり,康慶や運慶の一門や,その系統の仏師で,その名の一字に〈慶〉字を付すことが多い。鎌倉時代になり京都七条に仏所を置いたので,のちには七条仏所ともよばれた。覚助は父定朝に劣らぬ技能を備えていたらしいが,若年で没しており,その後をうけたのは定朝の弟子長勢,覚助の弟子院助であり,彼らは京都を中心に活躍する。…

【湛慶】より

…鎌倉初期の慶派の仏師。運慶の長男で,父なきあとの七条仏所(仏所)を主宰して活躍した。彼の作は運慶の豪快さには欠けるが,洗練された温雅な表現をとり,いかにも手がたい作品である。…

【仏師系図】より

…語義からすれば仏像製作を職業とする家の系譜であるが,美術史の上では平安時代中期に活躍した定朝を始祖とした慶派,七条仏所の木仏師の正系およびそれに準ずる人々の家系を順序に従って系譜としたものをさす。定朝を始祖とする点では院派,円派という家系もあるが,伝わっていない。…

【仏所】より

…日本の職業的仏師の最初といわれる定朝やその子,また弟子が,各自こうした仏所をつくっている。定朝の子覚助に始まり,鎌倉時代に運慶,快慶をはじめ多くの名工を生んだ七条仏所(慶派),弟子の長勢から出た三条仏所(円派),覚助の子院助に発する七条大宮仏所(院派)などがそれである。いずれも仏所の所在地を示しているようであるが,こうした呼称は鎌倉時代も後半以降のことのようで,当初はこうした呼び方ではなく,それぞれの大仏師の名を冠して呼んだのではないかと推定される。…

※「七条仏所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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