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諺(ことわざ)。多くのはかりごとのうち、迷ったときには機をみて身を引き、後日再挙を期すのが最上の策であるとする教え。転じて、困ったときには逃げるのが得策の意。単に「逃げるが勝ち」ともいう。中国、南北朝時代に、南朝の王敬則(おうけいそく)が反乱軍を率いて斉(せい)王の蕭道成(しょうどうせい)父子を建康(けんこう)(現在の南京(ナンキン))に攻めたとき、斉王父子が遁走(とんそう)したといううわさを聞き、南朝宋(そう)の名将檀道済(たんどうさい)が「三十六策走(にぐ)るがこれ上計なり」と魏(ぎ)の軍を避けた故実を引いて、斉王父子をあざけったことに由来する。もと、敵前逃亡する者を卑怯(ひきょう)者とののしることの意であったが、わが国では、転じて、逃げるを上策とする意にとられるようになった。
[棚橋正博]
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