三門(読み)サンモン

デジタル大辞泉 「三門」の意味・読み・例文・類語

さん‐もん【三門】

中央に大きな門を、左右に小さな門を配した門。
禅宗伽藍がらん正門。古代寺院の中門に相当する。一般に二階造りの楼門で、楼上に釈迦十六羅漢などを安置する。本堂涅槃ねはんに擬し、そこに到達するために通る空・無相・無願の三解脱門に擬する。のちには智慧慈悲方便三つに擬していう。
経典注釈に用いる三つの視点。未意・釈名・本文解釈の三つ。
教・律・禅の称。

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精選版 日本国語大辞典 「三門」の意味・読み・例文・類語

さん‐もん【三門】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中央の大きな門と左右に連ねた二つの小さな門を一門としていう語。
  3. 南大門と東および西の二門の併称。
  4. 仏語。
    1. (イ) 寺の本堂の前にある門の称。本堂を涅槃(ねはん)に擬して、空・無相・無願の三解脱門にたとえていったもの。後には智慧・慈悲・方便の三つなどに擬する。→山門
      1. [初出の実例]「院内大衆相送到三門外、捫涙執手別矣」(出典:入唐求法巡礼行記(838‐847)三)
      2. [その他の文献]〔釈氏要覧‐上〕
    2. (ロ) 経典注釈に用いる三つの視点。未意・釈名・本文解釈の三つ。
      1. [初出の実例]「短音唱題目講師開経目、三門分別、述経大意、大経題目竟」(出典:入唐求法巡礼行記(838‐847)二)
      2. [その他の文献]〔無量寿経連義述文賛‐上〕
    3. (ハ) 教・律・禅の称。
  5. さんもんぜき(三門跡)」の略。
    1. [初出の実例]「就武家形勢、如三門使者問答、彌不事行之間」(出典:園太暦‐貞和元年(1345)七月二三日)

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百科事典マイペディア 「三門」の意味・わかりやすい解説

三門【さんもん】

寺院の正面の門。楼門,重層の場合が多い。山門とも書く。本来禅宗寺院の正門をさし空・無相・無作(三解脱)の三つを象徴すると説く。後世では一般の寺院の門もこの名で呼び,知慧(ちえ)・慈悲・方便の仏の三つの徳を象徴するともいう。→寺院建築

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「三門」の意味・わかりやすい解説

三門
さんもん

寺院特に禅宗寺院の門をいう。涅槃 (ねはん) に入る門とされる空,無相,無作の三解脱 (げだつ) 門にたとえた。必ずしも3つの門がなくても三門と呼ぶ。三門の閣上には十六羅漢の像を安置し,中央には宝冠釈迦像脇侍に月蓋長者,善財童子を安置している。

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