寺院建築(読み)じいんけんちく

百科事典マイペディア 「寺院建築」の意味・わかりやすい解説

寺院建築【じいんけんちく】

日本における寺院建築仏教とともに中国から伝来したが,構造様式等日本風に消化洗練され,木造建築主流を占めるに至った。飛鳥時代の寺院跡は飛鳥寺はじめ50余ヵ所だが,奈良時代になって南都七大寺はじめ各地の国分寺が創立され,全国に広まった。以後仏教の発展に従って,様式や伽藍(がらん)配置が変化し,構造は唐(から)様大仏様和様建築など各様に発展した。明治以後寺院建築は衰退したが,1897年古社寺保存法の成立によってすぐれた寺院建築は文化財として保護されるようになり,それとともに歴史的研究が進んだ。
→関連項目三門寺院食堂大門方丈

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「寺院建築」の意味・わかりやすい解説

寺院建築
じいんけんちく

神社建築に対する語で、わが国では一般に仏教寺院の建築をさす。しかし広義では、寺院は仏教寺院だけにとどまらず、キリスト教教会堂修道院イスラム教モスクユダヤ教シナゴーグなどはもちろん、インドにおけるヒンドゥー教ジャイナ教などの寺院、道教における道観や廟(びょう)などを含み、それぞれ教義に基づいた礼拝形態をとり、その建築は多種多様である。

[工藤圭章]

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世界大百科事典 第2版 「寺院建築」の意味・わかりやすい解説

じいんけんちく【寺院建築】

仏教のための建築群で,本来は僧尼の組織を伴う。仏教がインドで成立した当初は,仏陀を中心とした僧団の住舎に大衆集会の広場をもち,サンガーラーマsaṃghārāma(僧園,衆園(しゆおん)),アーラニヤāraṇya(寂静処)などと呼ばれた。後,仏陀の墓を示すストゥーパstūpaを中央に置き,周囲に僧房がある形となる。さらに中央堂の上をストゥーパとし,室内に仏像をまつる形ができた。これが中央アジアを経て後漢代(1~3世紀)に中国に伝えられた。

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世界大百科事典内の寺院建築の言及

【建築装飾】より

…こうした建築は日光東照宮をはじめ特に関東地方に例が多い。
[彩色,漆塗]
 寺院建築では伝来当初から丹や朱を主とし,一部に胡粉,黄土,緑青などを用いた塗装が外部に施され,やがて神社建築にも取り入れられた。内部では仏を荘厳(しようごん)するために主として天井回りに極彩色の装飾文様を描いたりした。…

【神社建築】より

…もちろん例外もあるが,多くの神社でこの原則は古代から近世までよく守られてきたといえよう。そしてこの特色はいずれも寺院建築のそれと鋭く対立する内容で,一見して神社と識別される建築上の標識が,たとえば鳥居の存在などによるだけでなく,本殿の形式においてもよく維持されてきたことを示している。すなわち寺院の主要な建築が寄棟造あるいは入母屋造につくるのに対して神社は原則として切妻造であり,寺院の瓦葺き(かわらぶき),土壁に対するに神社は植物性の屋根材料と板壁を用い,古代の寺院建築が土間床であったのに対して神社本殿は必ず高い板敷きの床にするという具合であった。…

※「寺院建築」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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