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不空羂索観音 ふくうけんさくかんのんAmoghapāśa

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

不空羂索観音
ふくうけんさくかんのん
Amoghapāśa

六観音の一つ。胎蔵界曼荼羅観音院の一尊。pāśa(羂索)は漁猟に用いる「わな」で,amogha(不空)は徒労ではないこと,大悲心で衆生を済度して残さないという意味。日本では主として 8~9世紀に造像が行なわれ,東大寺法華堂(三月堂)に天平時代の乾漆造の立像が伝存し,ほかに広隆寺,奈良大安寺などにも 9世紀頃の遺品がある。鎌倉時代には不空羂索観音の信仰が再盛したらしく,興福寺文治5(1189)年の康慶作の坐像,福岡観世音寺などの名品が遺存する。その姿は普通,1面3目8臂につくられる。中インドのマトゥラより 1面6臂の像が出土し,敦煌にも壁画が残る。

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デジタル大辞泉の解説

ふくうけんじゃく‐かんのん〔‐クワンオン〕【不空羂索観音】

《〈梵〉Amoghapāśaの訳》六観音・七観音の一。羂索(けんさく)によって衆生を救い菩提(ぼだい)の彼岸に送ることを誓願とし、その成就の空しくはないことを名とする。像は一面八臂(はっぴ)が普通で、手に蓮華(れんげ)・錫杖(しゃくじょう)・羂索・数珠(じゅず)などを持つ。ふくうけんさくかんのん。

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百科事典マイペディアの解説

不空羂索観音【ふくうけんじゃくかんのん】

六観音の一つ。〈ふくうけんさくかんのん〉とも。羂索は漁猟の道具で,どんな魚や鳥も捕らえられるように,必ず人を救うのでこの名がある。古くから信仰され,東大寺三月堂本尊の三目八臂像は天平仏として有名。
→関連項目乾漆康慶

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世界大百科事典 第2版の解説

ふくうけんじゃくかんのん【不空羂索観音】

サンスクリット名アモーガパーシャAmoghapāśaの訳。〈ふくうけんさく〉とも読む。変化観音の一つで,天台宗では六観音の一つに数える(真言宗では不空羂索にかえて准胝(じゆんてい)を数える)。衆生の煩悩を羂索をもって,もらさず済度する悲願を立てた観音である。〈不空羂索神変真言経〉に説かれ,変化観音の中では早く成立し,インドに多くの作例が見いだされる。日本でも奈良時代から信仰された。図像としては一面二臂,四臂,八臂,十八臂,三面二臂,四臂,六臂,十臂,十一面三十二臂など多種がある。

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大辞林 第三版の解説

ふくうけんじゃくかんのん【不空羂索観音】

六観音・七観音の一。大悲の羂索(鳥獣を捕らえる道具)でもらさず(不空)一切の衆生しゆじようを救いとる観音。顔は一面・三面・一一面のものなどがあり、腕の数も一定しない。ふくうけんさくかんのん。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

不空羂索観音
ふくうけんじゃくかんのん

六観音の一つ。「ふくうけんさくかんのん」とも読む。羂は網、索は魚の釣り糸のことで、網を張って鳥をとらえ、糸を垂れて魚を釣るように、人々を救って余すところがないという誓いが正しいので不空という。この観音を拝むと病や水火の難を逃れるなど20種の利益(りやく)があるといい、奈良時代はとくにその信仰が盛んであった。三目八臂(さんもくはっぴ)の像容をもつ、東大寺法華堂(ほっけどう)の本尊(奈良時代、国宝)、興福寺南円堂の本尊(鎌倉時代、国宝)は有名。[石上善應]

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世界大百科事典内の不空羂索観音の言及

【金属工芸】より

…大仏殿前の鋳造八角灯籠も創建当初のもので,斜格子文透の上に音声(おんじよう)菩薩を半肉に鋳出した火袋をもつ華麗なものである。同じく東大寺の法華堂(二月堂)不空羂索観音が頂く銀製宝冠は,銀板に唐草文を透彫し玉類などで飾った美麗なもので,これらは当代金工の高い水準を示している。正倉院もまた金工の宝庫であり,鏡,錫杖,柄香炉,銀壺などの鋳造品,薫炉,盤などの鍛造品と多種多彩の金工遺品を伝えている。…

【大仏】より

… 塑像では岡寺の弥勒菩薩座像や当麻(たいま)寺金堂の弥勒仏座像が大像として知られている。乾漆像では唐招提寺の盧舎那仏座像,千手観音立像,薬師如来立像,あるいは東大寺法華堂の不空羂索観音立像,梵天,帝釈,金剛力士,四天王像などいずれも300cmをこす大像である。木造では奈良長谷寺の十一面観音立像が知られる。…

※「不空羂索観音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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