不良債権処理問題(読み)ふりょうさいけんしょりもんだい

百科事典マイペディア 「不良債権処理問題」の意味・わかりやすい解説

不良債権処理問題【ふりょうさいけんしょりもんだい】

金融機関の融資がこげつき,回収困難に陥った債権の処理をめぐる問題。日本の銀行は1980年代末のバブル経済期に,回収見込みのない物件や低収益の途上国融資,土地や株式など合計100兆円を超す融資を実施。1990年代前半,その大部分不良債権化し,銀行はその処理に苦しむことになった。1995年3月に大蔵省が発表した金融機関の不良債権は約40兆円であったが,対外的に公表されない不良債権額はその2倍以上といわれる。1997年11月には北海道拓殖銀行経営破綻。これは同行の不良債権問題が引金になり,市場からの資金調達が困難となったためで,1998年10月には日本長期信用銀行,同年12月には日本債券信用銀行,1999年には地方銀行の数行が経営破綻した。 1998年,深刻化する経済不況,不動産価格の下落株安などにより,不良債権処理は大幅に遅れた。海外の金融機関からは不信の声があがり,金融システムすら揺らぎ始め,日本発世界恐慌も起こりかねない状況になったため,政府は大蔵省から金融行政の監督・検査部門を分離させて,1998年6月に金融監督庁を発足させた。また金融早期健全化法を同年10月に成立させ,公的資金60兆円を金融機関へ資本投入することを決定し,金融システム安定と不良債権処理を促進することにした。さらに同年12月には,総理府外局として金融再生委員会(委員長国務大臣)を設置し,金融監督庁もその下に置き,2001年に金融庁のもとにこれら組織は統合された。銀行は不良債権処理のため,株や土地など資産を売却し,人員削減などリストラ策を打ち出す一方で,債権放棄,債権売却などを進め,その結果,景気回復基調の中で2004年9月末には4大金融グループの不良債権は10.4兆円となり,ピーク時(2002年3月末)の半分以下。不良債権処理終息の道筋が見えてきた。→共同債権買取機構整理回収機構産業再生機構
→関連項目自己競落会社日本破綻金融機関速水優不動産証券化

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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