中山伝信録(読み)チュウザンデンシンロク

デジタル大辞泉 「中山伝信録」の意味・読み・例文・類語

ちゅうざんでんしんろく【中山伝信録】

《「中山」は琉球異称中国地誌。6巻。徐葆光じょほうこう著。1721年成立前年外交使節として訪れた琉球見聞を、皇帝への報告書としてまとめたもの。琉球の研究資料として知られる。

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精選版 日本国語大辞典 「中山伝信録」の意味・読み・例文・類語

ちゅうざんでんしんろく【中山伝信録】

  1. 中国の地理書。六巻。清の徐葆光撰。康熙六〇年(一七二一)成立。琉球王尚敬への使者副使として派遣された著者が体験した琉球国の王府の事情や中国との外交関係、王系地理制度風俗言語などを記す。

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日本歴史地名大系 「中山伝信録」の解説

中山伝信録
ちゆうざんでんしんろく

六巻 徐葆光著

成立 康熙六〇年

解説 徐葆光は尚敬王の冊封副使として康熙五八年六月に来琉、翌年二月まで八ヵ月滞在した。おもに一巻は封舟の航海、二巻は諭祭・冊封・中秋および重陽の宴、三巻は琉球王の世系、四巻は琉球地理、五巻は諸制度、六巻は風俗・物産などについて述べる。使琉球録(冊封使録)の中で最も整った叙述で、挿入された地図・絵図とともに広く知られる著作となった。江戸期の日本でも板行され、琉球地誌の普及に貢献があった。

活字本 一九九九年(原田禹雄訳注、榕樹書林)、「那覇市史」資料編一―三(抄録)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中山伝信録」の意味・わかりやすい解説

中山伝信録
ちゅうざんでんしんろく

中国人徐葆光(じょほうこう)が著した書物。1719年(享保4)に琉球(りゅうきゅう)王国の尚敬(しょうけい)王冊封(さくほう)のため、清(しん)の康煕(こうき)帝の正使海宝(かいほう)とともに使節団を率いて琉球を訪れた徐葆光(副使)は、翌年帰国すると、滞琉中の見聞と諸書を参考にして六巻に及ぶ報告書(冊封使録(しろく))をまとめ、皇帝に復命した。琉球の自然、人文、諸事の概要を図版入りで解説した本書は、琉球入門書として江戸時代の日本の学者に広く読まれただけでなく、1781年にアントワーヌ・ゴービルAntoine Gaubilの手で仏訳されて、以後ヨーロッパ人たちの琉球理解のハンドブックとして広く知られた。琉球研究の一級史料の一つである。なお、「中山」は琉球の別称。

[高良倉吉]

『原田禹雄訳注『中山伝信録』(1981・言叢社)』

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