精選版 日本国語大辞典 「中臣祓」の意味・読み・例文・類語
なかとみ‐の‐はらえ‥はらへ【中臣祓】
なかとみ‐ばらい‥ばらひ【中臣祓】
- 〘 名詞 〙 =なかとみのはらい(中臣祓)〔運歩色葉(1548)〕
- [初出の実例]「犬の糞踏にじりて、中臣祓(ナカトミハライ)は、恐れおそるべし」(出典:談義本・教訓乗合船(1771)二)
大祓詞(おおはらえのことば)のことで,中臣氏がこれを宣(の)るのを代々の業としたため,この名がある。中臣祭文(なかとみのさいもん)などともいった。ただし一般に大祓詞といえば,大祓の参集者に読み聞かせるものをいい,中臣祓といった場合は神前で奏上する形式に改められたものをいう。毎年6月,12月の晦日に行われる大祓には百官男女を祓所に聚集し,中臣は祓詞を宣り,卜部は解除を為(せ)よと定められていた。作者,製作年代はつまびらかでなく,一説に天智天皇の世に中臣金(くがね)が献じ,二季の大祓に用いたともいう。平安時代に用いられたものは,《延喜式》に収載されている。内容は〈皇親神漏岐(すめむつかぶろぎ)・神漏美(かむろみ)〉の命,すなわち遠い祖先の言葉として宣言されていて,国のあり方や人間のあり方にまで言及する。そのため,古来神道家や神道学者にひじょうに重んぜられ,その注釈書は大変な数にのぼる。これを集大成したものに《大祓詞註釈大成》(1935)がある。
執筆者:茂木 貞純
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