家庭医学館 「中葉症候群」の解説
ちゅうようしょうこうぐん【中葉症候群】
中葉症候群とは、右の中葉、または左で中葉にあたる舌状区(ぜつじょうく)という部分におこる無気肺(むきはい)(コラム「無気肺」)や慢性の炎症をいいます。
もともとは、結核(けっかく)によって気管支周囲のリンパ節が腫(は)れ、気管支を圧迫しておこる病変をさすことばで、それが中葉におこりやすいとされていたために、こう呼ばれました。
しかし、実際には、このようなことがおこるのはまれで、現在では、気管支拡張症(きかんしかくちょうしょう)(「気管支拡張症」)などによる、中葉気管支の慢性的な炎症が、おもな原因とされています。
ただ、日本においては、肺がんなどでおこる中葉の無気肺や閉塞性肺炎(へいそくせいはいえん)(気管支が狭くなり、十分に換気が行なわれないためにおこる肺炎)をさすこともあります。
もとの意味の中葉症候群に対しては、対症療法として去痰薬が用いられます。感染によっておこっている場合は、抗生物質が用いられます。いずれにしても、患者さんには、禁煙してもらいます。
炎症をくり返す場合は、根治のために手術(中葉切除術)も考慮します。
肺がんが原因の場合は、手術、放射線治療などが行なわれます。
がんが気管支の内側に突出し、気管を閉塞している場合は、早めに呼吸困難などの症状が出るために発見も早く、切除可能なことが多いのですが、がんがリンパ節などへ転移し、気管支を外側から圧迫して症状が出ている場合は、すでに手術ができないほど進んでいることが多いのです。この場合は、放射線治療または抗がん剤と放射線治療を併用する療法などが行なわれます。