中食(読み)ナカショク

デジタル大辞泉 「中食」の意味・読み・例文・類語

なか‐しょく【中食】

[名](スル)《「ちゅうしょく」とも》弁当などの調理済みの食材を買って持ち帰り、職場家庭などで食べること。また、その食事。「中食産業」→内食うちしょく外食

ちゅう‐しょく【中食】

なかしょく(中食)

ちゅう‐じき【中食】

1日2食の習慣のとき、朝食と夕食の間に軽くとる食事。後には昼の食事。

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精選版 日本国語大辞典 「中食」の意味・読み・例文・類語

ちゅう‐じき【中食】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。正午(日中)に食する食事をいう。
    1. [初出の実例]「中食以後出京」(出典:満済准后日記‐応永三四年(1427)一月七日)
    2. [その他の文献]〔釈氏要覧‐上〕
  3. 朝食と夕食との間にとる食事。空腹を満たすための軽い間食。後には、時間的に一致する昼の食事をさす。→昼食(ちゅうじき)
    1. [初出の実例]「中食之後可参上候」(出典金沢文庫古文書‐(年月日未詳)(鎌倉末)順忍書状(二・一五一五))
    2. 「ちごの中ぢきを膳棚にあげおき、其の下に小法師がひる飯もおきて」(出典:咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)下)
  4. 正午の茶会で出す食事。

中食の語誌

古代の日本人の食生活は、朝食と夕食の二食であり、昼に食べる食事は間食として意識されていた。これがの食事と時間的に近く、朝と夕の中間ということも表わすのでの意が生じた。後、次第に三食が一般化したことにより、朝食、夕食に対して昼にとる食事ということで、同音の「昼食」とも表記されるようになったと思われる。また、チュウジキは呉音読み。チュウショクと漢音で読むようになったのは、明治時代以降。

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知恵蔵 「中食」の解説

中食

総菜やコンビニ弁当などの調理済み食品を自宅で食べること。レストランや飲食店で料理を食べることを「外食」と言い、手作りの家庭料理を自宅で食べることを「内食(うちしょく:ないしょく)」と言ったりするが、総菜や弁当などの、外部の人手によって調理されたものを自宅で食べるという意味で、外食と内食の中間に位置づけられることから、こう呼ばれる。
中食という言葉が登場したのは、働く女性やコンビニエンスストアが社会に定着した1980年代ごろからだと思われる。それまで日本の食事は、母親が手作りする「わが家のごはん」と、飲食店で食べる「お店のごはん」に大きく分かれていたが、核家族化や女性の社会進出が進むにつれ、コンビニ弁当やスーパー・デパートの総菜、宅配ピザ、持ち帰り弁当など「わが家で食べるお店のごはん」が食卓に並ぶように。調理の手間がかからず、価格も外食より手頃なことから、年々市場規模が大きくなっていった。この10年間で25%も伸びたと言われており、2007年の市場規模は約6兆5千億円。(財)外食産業総合調査研究センターの推計によると、03年にはすでに外食産業の4分の1の市場規模に達している。
中食に位置づけられるものは、実はずっと以前からあった。仕出し、出前などがその代表例だ。だが中食という新たな造語ができたのは、総菜や弁当の普及によって、家庭の食事形態が変化し始めたからだ。特徴的なのは「個食化」。弁当1つ、コロッケ1つから手軽に購入できる中食によって、一緒に暮らす家族間でも別々のものを食べる、一人きりで食べるといった個食傾向が強まったと思われる。また、中食は単身者の利用も多く、未婚、高齢の単身世帯増加といった社会背景とも密接にかかわっているとみられる。
健康志向による手作り派の増加、景気低迷などによって、以前ほどの伸びはないものの、中食市場は依然として堅調。しかし中食の繁栄を支えてきたコンビニエンスストアでは、中食の過剰生産が新たな問題を生んでいる。公正取引委員会は09年6月、加盟店オーナーが消費期限間近の弁当や総菜を値下げ販売することに対し「ブランドイメージを損ねる」などと一部店舗に値下げを制限したとして、セブン-イレブンジャパンに対し独占禁止法による排除命令を出した。まだ食べられるコンビニ弁当などが、見切り販売できないため大量に売れ残り、廃棄されていたことが背景にある。

(高野朋美 フリーライター / 2009年)


中食(なかしょく/なかじき)

中食は本来昼食の意味だが、近年は、コンビニエンスストアやスーパー、デパ地下などの弁当・惣菜などテイクアウト料理全般を買って食べることも指す。宅配ピザや出前物も含まれる。従来の内食(家庭料理)と外食の間に生じた食のスタイルでもあり、各人がバラバラに買って食べることから個食(孤食)ともいう。

(中島富美子 フード・ジャーナリスト / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「中食」の意味・わかりやすい解説

中食
なかしょく

調理済みの食品を購入し、自宅や職場などで食べること。具体的には、総菜、すし、おにぎりサンドイッチ、弁当などをデパ地下やコンビニエンス・ストアなどで買ったり、宅配(デリバリー)によって入手し、それを家などで食べることである。外出して飲食店などで食事をとることを外食とよび、家で材料から調理をした料理を食べることを内食(うちしょく)とよぶ。中食は、この二つの中間的な食事の形であることから、このようによばれるようになった。

 食の安全・安心財団の調査によれば、一般家庭の食料品支出のなかで、生鮮食品の割合は減少して調理済み食品などで占められる食の外部化率が増える傾向にあり、1975年(昭和50)には28.4%であったが、2013年(平成25)には44.0%へと増加した。このうち、コンビニエンス・ストアなどで購入して自宅で食べる中食の増加率がとくに高い。

 中食の増加は、家事の負担を軽減する目的で中食を嗜好する傾向にある高齢者夫婦や独居世帯が増えたことの影響が大きいとみられている。2025年には夫婦のみ、あるいは独居の世帯が、3人以上の家族世帯を上回る見通しであり、今後も中食が増え続けると予測されている。

[編集部]

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農林水産関係用語集 「中食」の解説

中食(なかしょく)

レストラン等へ出かけて食事をする外食と、家庭内で手作り料理を食べる「内食」の中間にあって、市販の弁当やそう菜、家庭外で調理・加工された食品を家庭や職場・学校・屋外等へ持って帰り、そのまま(調理加熱することなく)食事をすること。また、その食品(日持ちをしない食品)の総称。

出典 農林水産省農林水産関係用語集について 情報

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