義太夫(ぎだゆう)節の一曲全部の詞章を収めた版本をいう。一曲のうちの一段を収めた段物、抜き本(稽古(けいこ)本)に対することば。普通、義太夫節だけに用い、他の流派の浄瑠璃(じょうるり)の場合には正本(しょうほん)と称している。また、「院本」と書いて「まるほん」と読むこともあるが、これは中国で戯曲を意味する語を転用したもの。浄瑠璃界では新作上演の際には丸本を刊行するのが慣例で、衰退期までそれは守られていた。初期の浄瑠璃の正本は絵入りの細字本で読み物として刊行されていたが、やがて浄瑠璃を稽古する人が増えたため、宇治加賀掾(かがのじょう)が1679年(延宝7)稽古用の大字八行本『牛若千人切(うしわかせんにんぎり)』を刊行した。その後、義太夫節の流行に伴い、八行本が続々出版され、やがて1710年(宝永7)の『吉野都女楠(よしののみやこおんなくすのき)』以来七行本が始まり、その後、九行、十行、十一行、十二行本なども刊行されたが、七行の稽古本が丸本の標準的な形式となっている。
[山本二郎]
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…このころが人形浄瑠璃の勢いがもっともさかんで,生彩をはなった時期で,〈操り段々流行して歌舞伎は無きが如し〉(《浄瑠璃譜》)とまでいわれるほどの繁栄をみた。また18世紀初めからは,歌舞伎の音楽としても用いられるようになった(丸本物)。 しかし,舞台が大がかりになり,人形が写実的になって人間に近づき,竹田出雲,並木宗輔らや,名人たちの相次ぐ逝去,火災や不祥事件などが重なって,衰退のきざしをみせはじめる。…
…版元にもよるが,延宝期以後のものとしては,8行ないし7行のものが最も信頼のおける正本である。絵入の正本でなく,太字の正本を俗に丸本(まるほん)ともいう。1段だけの抜本に対し作品全部を収めた意である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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