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院本 インポン

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デジタル大辞泉の解説

いん‐ぽん〔ヰン‐〕【院本】

《「行院本」の略。行院は、中国の金・元時代の俳優の居所》
時代に演じられた演劇の一。また、その脚本。
義太夫節浄瑠璃正本。丸本(まるほん)。

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百科事典マイペディアの解説

院本【いんぽん】

中国,金元代に行われた演劇。日本の茶番狂言に似た短い1幕物の滑稽(こっけい)劇。実質は宋代の雑劇とほとんど同じで,元代に完成した雑劇の直接の母体。明代中期まで続いた。

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世界大百科事典 第2版の解説

いんぽん【院本 Yuàn běn】

中国の古典劇の一種。唐の参軍戯を発展させて宋代に生まれ,その治下では〈雑劇〉とよばれたファルス(笑劇)の,金・元・明3朝における呼称。歌舞練場ないし妓女・芸人をさす〈行院〉の脚本を意味する語が,ただちに形体名に用いられた。末泥,引戯,副浄,副末という4種の役がらによって上演され,ときに官人役の装孤を加えるので,〈五花爨弄(ごかさんろう)〉の名もある。700余編に及ぶ外題が伝わるのみで,脚本そのものはすべて散逸したが,元代の本格的な演劇すなわち同名異質の〈雑劇〉中に挿演されたものから想定すると,だじゃれとおどけたジェスチャーの応酬に終始し,最後にユーモラスな歌の1,2曲がうたわれたとわかる。

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大辞林 第三版の解説

いんぽん【院本】

中国金代に盛行した演劇。一幕物の風刺劇が主体となっていたと推定される。北宋の雑劇を引き継いだもので、元代の雑劇の母胎となった。
江戸時代、浄瑠璃の詞章全部を収めた版本。丸本まるほん

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

院本
いんぽん

(1)中国、金(きん)・元(げん)代の演劇。当時、芝居芸人たちの居所を行院(こういん)といい、転じて芸人たちをもそうよんだが、その行院の芝居が用いた脚本の意である。形式は宋(そう)雑劇と同じとされるが、5人の役者で上演されたといい、諧謔滑稽(かいぎゃくこっけい)に限られない幅広い題材を扱うようになっており、宋雑劇が元雑劇に発展していく過渡の段階のものといえる。700種余の演目が記録されているが、脚本はすべて失われた。『金瓶梅詞話(きんぺいばいしわ)』や、二、三の元・明(みん)の雑劇に、その上演のようすが描かれていて、おおよその輪郭をうかがうことができる。元以降は、元雑劇と区別して宋雑劇も院本とよぶようになり、さらに広く芝居の類一般をさしていわれることもある。[傳田 章]
(2)日本では、義太夫節(ぎだゆうぶし)の一曲全部を収めた版本を、普通、正本(しょうほん)または丸本(まるほん)と称したが、別に院本と書いて「いんぽん」または「まるほん」と読むこともあった。これは、中国の古い時代に演劇または脚本の意に院本という文字が用いられたことから、上方(かみがた)で中国の戯曲類の翻案が盛んに行われたころに、院本すなわち脚本と理解し、丸本に院本の字をあてたものと思われる。寛政(かんせい)期(1789~1801)の『草茅危言(そうぼうきげん)』という本に「浄瑠(じょうる)り本と云(いふ)は唐山(とうざん)にて所謂(いはゆる)院本也(なり)」とあるは、そのへんの事情を示すものと思われる。[山本二郎]

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世界大百科事典内の院本の言及

【雑劇】より

…ただし,この名称は〈雑〉字が示すように,中国の演劇が未成熟の段階にあったころから,演劇に類する諸種の芸能をさして用い,したがって,時代と地域によって実体を異にする。唐末の文献にみえるそれは未詳だが,11~13世紀ごろ宋朝の治下では,のちに〈院本〉と改称される風刺寸劇や,〈南戯(南曲)〉の源流とされる温州(浙江省永嘉)の地方劇などをこの名で呼んだ。しかし,13,14世紀ごろ元朝治下において本格的歌劇が画期的な戯曲文学を開花させて,文学史上に〈元曲〉とたたえられると,この形態がほとんど〈雑劇〉の名を独占するにいたる。…

【中国演劇】より

…役柄も4人から6人ぐらいにふえ,北宋の首都の汴京(べんけい)(開封)あるいは南宋の首都臨安(杭州)では,人形劇や影絵芝居,また歌物語,講釈,落語,曲芸等々,さまざまな芸能とともに〈勾欄(こうらん)〉とよばれる演芸場で盛んに演じられた。このとき北方の金治下においては,雑劇が〈院本〉の名のもとに行われていたが,それらの中には茶番狂言の域を脱して一貫した故事(物語)を演ずる本格的な演劇として成長していたことをうかがわせるものが含まれている。
[元曲の隆盛]
 13世紀,モンゴル民族の元が金を滅ぼしてのち,首都の大都(北京)を中心にして新形態の歌劇が流行し始めた。…

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