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統計的多変量解析法の基本的手法。ある集団についてその個体の特徴が多くの変数で測定されているとき,個体の特徴を総合的に表現する少数の指標を求めることを目的とする。例えば,各企業の活動結果や財務状況は売上高,利益,資本金,負債額など多くのデータで示されるが,企業の評価のための少数の指標(主成分または成分といわれる)が主成分分析によって構成される。
変数を仮に3個としてx,y,wと書くと,主成分はz=ax+by+cwというように変数の一次結合(重みつきの和)として表現され,個体ごとの(x,y,w)の値を代入して主成分値が求められる。普通は,各変数は平均0,標準偏差1に標準化され,一次結合の重みはその変数と主成分との相関係数(例えば,aはxとzの相関係数)になっている。一般にp変数n個体のn×pのデータとすると,pは数十から100,nは数百から数千ということも珍しくない。主成分は3~7個ぐらいが互いに無相関になるようにとられ,データ全体の変動を代表し要約するように構成される。
第1主成分は,もとの変数の変動をできるだけ反映するように,例えば,xの値が大きい個体に対しては主成分値zも大きくなるようにしたいという考えを相関係数で表現し,各変数と主成分との相関係数の2乗の和,3変数の場合ならばr2(z,x)+r2(z,y)+r2(z,w)を最大にするものと定式化される。この式で,r(z,◦)は主成分とある変数との相関係数を表し,相関係数の正負は絶対値が同じならzが変数を代表する程度に関係しないと考えて2乗している。第2主成分以下は第1主成分と無相関という条件で(幾何学的にいえば直交方向に),同じように各変数の変動を代表するように構成される。実際の計算では,もとの変数の間の相関係数を並べた相関係数行列の固有ベクトルが主成分の方向を定め,固有値が主成分と各変数の相関係数の2乗の和を表すということを用いる。
求められた主成分は,因子分析のときのようにその現実的意味が解釈されて,個体の類型化や特徴の記述に用いられる。企業財務の分析では,企業の安定性や成長性などの成分が抽出され,レーダーチャートなどで図式化されて利用されている。
執筆者:吉沢 正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 (株)トライベック・ブランド戦略研究所ブランド用語集について 情報
…たとえば,人の顔の認識のための目や鼻など,機械部品では角や穴など,あるいは屋内自動走行車のためには廊下の境界やドアなどの境界線である。どの特徴をどのようにして抽出したらよいかを決める一般的理論はないが,いくつかの特徴の候補が与えられたとき,どの特徴が有効であるかを統計的に評価する方法はある(主成分分析あるいは固有ベクトル法など)。有効な特徴から順に選択していき,いくつかの入力パターンに対して認識実験を行って,適当な数の特徴を決めることができる。…
※「主成分分析」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」