久慈(市)(読み)くじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「久慈(市)」の意味・わかりやすい解説

久慈(市)
くじ

岩手県北東部、太平洋岸に臨む市。1954年(昭和29)久慈、長内(おさない)の2町と宇部山根、大川目(おおかわめ)、侍浜(さむらいはま)、夏井(なつい)の5村が合併して市制施行。2006年(平成18)九戸(くのへ)郡山形村(やまがた)を合併。JR八戸(はちのへ)線、三陸鉄道リアス線、国道45号、281号、395号が通じ、三陸沿岸道路の久慈、久慈北、久慈南などのインターチェンジがある。江戸時代は砂鉄、金、海産物の産地として知られ、南部九牧の一つがあり、馬産地でもあった。久慈港漁港、工業港として機能し、サバサワラスルメイカなどが水揚げされる。農業は農作物に被害を与える冷涼な「やませ(山背)」の影響が強く、ビニールパイプハウスによる野菜産地化を目ざし、侍浜地区には山背対策試験地が設けられた。海岸一帯は三陸復興国立公園(旧、陸中海岸国立公園)に含まれ、小袖(こそで)には海女(あま)集落があり、「北限の海女」として知られる。小久慈には江戸時代の伝統的な技法を伝える小久慈焼があり、巽山(たつみやま)丘陵には市の出身の柔道家三船久蔵(みふねきゅうぞう)十段の記念館(資料館と公式2面の道場)がある。久慈渓流は久慈平庭(ひらにわ)県立自然公園の一部。長泉寺の大イチョウは国指定天然記念物。面積623.50平方キロメートル、人口3万3043(2020)。

[川本忠平]

〔東日本大震災〕2011年の東日本大震災では9メートル近い津波が市街を襲い、死者4人・行方不明2人、住家全壊65棟・半壊213棟を数えた(消防庁災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第159報)」平成31年3月8日)。

[編集部 2019年9月17日]


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