九軒町(読み)くけんまち

精選版 日本国語大辞典 「九軒町」の意味・読み・例文・類語

くけん‐まち【九軒町】

  1. 大坂新町遊郭にあった揚屋町。現在の大阪市西区新町一丁目にあたる。寛永年間(一六二四‐四四玉造九軒茶屋が移ってきたものという。九軒。
    1. [初出の実例]「局女郎の袖ひくを、罵り興じてゆくままに、やがて九軒町にいたれば」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)八)

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日本歴史地名大系 「九軒町」の解説

九軒町
くけんちよう

[現在地名]西区しん町一丁目

新町しんまち遊廓北部に位置し、新堀しんぼり町の西にある。古町名揚屋あげや町といい(初発言上候帳面写)、もとは花街の余地問屋などがあったが、商客に廓から妓女をよんで供応したことからいつしか揚屋町となったとする説、荒蕪地であった所が延宝年間(一六七三―八一)遊所になったとする説、玉造たまつくり(現東区)の九軒茶屋を引移したとする説があって(摂津名所図会大成)、その由来は不明。明暦元年(一六五五)大坂三郷町絵図にすでに町名がみえる。大坂三郷南組に属し、元禄一三年(一七〇〇)の三郷水帳寄帳では屋敷数一一・役数一一役で、年寄は井筒屋太郎左衛門。


九軒町
くけのちよう

[現在地名]和歌山市九家くけの

元博労もとばくろう町一丁目北側の横町で、東は鷺森南之さぎのもりみなみの丁、西は宇治うじ地区の武家屋敷町。「続風土記」は「慶長の比瓦匠九軒ありし、故に名とす」とあるが、鷺森西側のこの付近城下町としての整然とした町割ではなく、六軒ろつけん町などと同様に鷺森別院門前町の一部であったと考えられる。


九軒町
くけんちよう

上京区御車道清和院口上ル

南北に通る河原町かわらまち通に東面する片側町。元禄四年(一六九一)京大絵図には「遣迎院」「廬山寺」「浄華院」「本禅寺」などが記され、町名はみえない。「坊目誌」によれば、明和二年(一七六五)の女院御所造営で烏丸からすま下立売しもたちうり上ル東側が御用地となり、その替地として当地に民家九戸を移し九軒町と称したという。


九軒町
くけんまち

[現在地名]赤穂市加里屋かりや

しん町の高光こうこう寺北裏にある東西一町一一間の町筋で、家数二四、うち借家五(宝永元年加里屋町絵図)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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