デジタル大辞泉
「乳腺線維腺腫」の意味・読み・例文・類語
にゅうせん‐せんいせんしゅ〔‐センヰセンシユ〕【乳腺線維腺腫】
乳腺にできる良性腫瘍。主に思春期から30歳代の女性にみられる。しこりは硬く弾力があり、よく動く。痛みを伴わない場合が多い。手術により切除することもあるが、小さい場合などは治療を必要としないこともある。
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「乳腺線維腺腫」の解説
にゅうせんせんいせんしゅ【乳腺線維腺腫 Fibroadenoma of The Breast】
[どんな病気か]
乳房(にゅうぼう)の小葉(しょうよう)(乳汁(にゅうじゅう)をつくる腺胞(せんほう)が集まっているところ)内の結合組織が増殖し、しこりをつくる病気です。
思春期から25歳くらいまでの若い年代の女性にできやすく、よくみられる良性の乳房の腫瘍(しゅよう)です。線維腺腫が乳がんに発展することはほとんどありません。
[症状]
しこりの大きさは、小豆大(あずきだい)からうずらの卵大のことが多いのですが、ときには鶏卵大になることもあります。形は、球状や卵形が多く、ときにしこりの縁がくびれたような切れ込み(分葉状)になっていることもあります。
しこりの表面はなめらかで、かたさは、ふつうの消しゴムぐらいです。しこりと周囲との境界がはっきりしていて、乳腺の中でしこりがころころと動くのが特徴です。
しこりは、1個だけでなく、いくつもできることがあります。痛みもなく、しこりに触れて、偶然、気がつくことが多いようです。
経過を観察すると、しこりの大きさは多少増大しますが、時間の経過とともに際限なく増大することはなく、急速に増大することもありません。
[検査と診断]
触診(しょくしん)で、ほぼ診断がつきます。若い女性は、乳腺の密度が濃いため、マンモグラフィー(乳腺X線検査)では診断しにくいことが多く、超音波検査のほうが、腫瘍の特徴を映し出すことができるので診断がつきやすいようです。
50歳をすぎて発見される場合は、マンモグラフィーで診断がつきやすく、大粒の石灰化像と腫瘤陰影(しゅりゅういんえい)という、乳腺線維腺腫の特徴的な変化が映しだされます。
鑑別診断で重要なのは、限局性の乳がんです。マンモグラフィーや超音波検査でも、鑑別がむずかしいことがありますので、穿刺細胞診(せんしさいぼうしん)(乳房のしこりに針を刺し、しこりの細胞を微量採取して病理学的に細胞を調べる)を必ず行なうことがたいせつです。
乳腺線維腺腫は、触診の結果だけでは、乳腺の葉状腫瘍(ようじょうしゅよう)(「葉状腫瘍」)にも類似しています。4cm以上の大きさの場合は、葉状腫瘍が疑われます。しかし、これもまた、マンモグラフィーや超音波検査で鑑別診断がつきます。
[治療]
25歳以下であれば、しこりの摘出を急ぐ必要はありません。ただし、穿刺細胞診で良性腫瘍であることを確認し、その後も、年1、2回の定期検査を欠かさず受けるようにすることが必要です。
25歳をすぎて発症した場合は、乳がんの可能性もあるので、手術をして、しこりを摘出したほうが賢明です。
手術は、局所麻酔をして皮膚を数cm切開(せっかい)し、しこりを摘出するだけですので、外来で受けられます。手術により、乳房に変形が残ることはありません。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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