予備校(読み)ヨビコウ

デジタル大辞泉 「予備校」の意味・読み・例文・類語

よび‐こう〔‐カウ〕【予備校】

上級学校、特に大学への進学希望者に、入学試験準備のための教育をする各種学校
[類語]学習塾

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精選版 日本国語大辞典 「予備校」の意味・読み・例文・類語

よび‐こう‥カウ【予備校】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 大学の各学部に進むための予備教育をする学校。予科。特に、古くは大学予備門のこと。
    1. [初出の実例]「コロンビヤ」(出典:西洋学校軌範(1870)〈小幡甚三郎訳〉)
  3. 志望する学校、特に大学にはいろうとする者を対象に、入学試験のための指導をする各種学校。
    1. [初出の実例]「予備校は遊び半分に行くべき処だ。それでも十分効用はある」(出典:学生時代(1918)〈久米正雄〉受験生の手記)

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改訂新版 世界大百科事典 「予備校」の意味・わかりやすい解説

予備校 (よびこう)

上級学校への進学志望者を対象に,入学試験合格のための実践的指導をする教育機関をいう。法的には学校教育法で規定する各種学校に含まれる。従来,大学受験コースが圧倒的に多かったが,学歴社会化や高校進学熱の高まりに伴って,1960年代から高校受験コースが,70年代からは小学生向けの有名中学をめざす進学塾も急増し,予備校化を呈している。最初の予備校は1870年代末に現れ,79年の教育令における〈其他各種ノ学校〉のなかに,中学予備,師範予備などの名称が出てくる。1900年ころには研数学館,正則予備校,早稲田高等予備校,開成高等予備校など,中・高等教育進学向けの予備校が出現している。しかし,この初期の予備校は,政府の中等学校整備がたち遅れていたのと,当時の入学試験の水準が高かったために学力補充が必要になったという過渡的現象であるといわれる。現在の予備校の原型が姿を現すのは第1次大戦後であり,進学率の増加と同時に学校間格差が生まれ,よりよい学校をめざす国民の進学競争の始まりを示している。第2次大戦後の予備校の隆盛は,新制大学発足期(1949年前後)にみられるが,さらに本格化したのは60年代の経済成長と,学校とくに高等教育の拡張期においてである。予備校生は1960年8万3000人,70年13万人,80年22万6000人,90年29万2000人と増加し,92年の29万4000人をピークに,その後は18歳人口の減少を反映して95年は27万1000人,97年の時点では22万6000人まで減少している。

 諸外国には日本のような形態や規模の予備校はほとんどないが,受験準備教育が制度化されている国々はいくつかある。たとえば,イギリスの私立学校系統には,パブリック・スクールの入学試験準備を行うプレ・プレパラトリー・スクールpre-preparatory school(5~8歳を対象)とプレパラトリー・スクールpreparatory school(8~13歳を対象)という特殊な学校がある。また,グラマー・スクールに設けられているシックス・フォームsixth form(17~19歳の生徒が通う)は,GCE試験(大学入学資格試験General Certificate of Education)のための受験準備学年という制度である。フランスでも,高等専門学校(グランドゼコール)のうちとくに水準や競争率の高い高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリウール)などに対しては,リセに付設される準備学校classe préparatoireが正規の学校教育として受験準備を行う。旧ソ連では高等教育機関への進学に際し,推薦制のほか夜間・通信教育が普及していた。高等教育人口の増加に伴って質的低下が問題となり,受験者の質を高める制度として1969年以降,主要高等教育機関に大学入学準備課程podgotvtstel'nyi kursが設けられるようになっていた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「予備校」の意味・わかりやすい解説

予備校
よびこう

入学試験の準備教育を専門に行う教育機関。外国ではイギリスの「プレップ・スクール」などがある。日本では第二次世界大戦前から旧制高等学校、専門学校を受験する中学浪人のため、受験準備教育を行う私塾などが発展したものがあったが、第二次世界大戦後、六・三・三制教育の実施に伴い新制大学が出現し、有名校へ受験者が集中する傾向が強まると、受験準備のための予備校が企業として成り立つことが明らかになり、各地に続々開設された。

 有名大学の入学者が、現役より浪人のほうが有利な場合もあることから、1955年(昭和30)ころからは予備校の数も増え、全体として量的規模の拡充がみられるようになった。しかし、18歳人口の減少を背景に、現役合格志向が強まるとともに浪人生の数は減り、1990年代初頭をピークに学校数・生徒数は減少し続けている。文部省(現文部科学省)の『学校基本調査報告書』によると、各種学校の認可を受けた予備校は1990年(平成2)時点で学校数208、生徒数14万2910人であったが、2000年には学校数132、生徒数4万9300人、2006年には学校数91、生徒数2万7552人と大幅に減少している。さらに、2009年度の『学校基本調査報告書』によると、学校数81、生徒数2万2266人となっている。そのため、大手予備校では、高校中途退学者のための高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)受験コース、BS・CSデジタル衛星放送や有線放送を使った遠隔授業、社会人向けの資格講座、中学・高校生向けの補習講座など多様な展開を図っている。

[手塚武彦・西根和雄]

『文部科学省編『平成21年度学校基本調査報告書(初等中等教育機関・専修学校・各種学校編)』(2009・日経印刷)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「予備校」の意味・わかりやすい解説

予備校
よびこう

入学試験に合格するための学力向上を目的とした学校。おもに大学入試に失敗したものを対象とする。近年は,高校生や,高等学校入試に失敗したものを対象とするものもある。法制上は各種学校に属し,法的規制のない学習塾とは異なる。日本における予備校の歴史は古く,明治末から大正期にかけてすでに増加し,現在と同じ受験準備機関としての性格を明確にしていた。第2次世界大戦後は,特に 1950~60年代にかけて大都市を中心として増加,また規模も大きくなり,現在は受験情報の提供者として,進学指導に強い影響力を及ぼすようになっている。

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百科事典マイペディア 「予備校」の意味・わかりやすい解説

予備校【よびこう】

上級学校の入学試験準備のため正規の課程以外の教育を施す学校。現在の日本では,中学受験,高校受験のための進学塾も盛んだが,おもに大学志望者のためのものをさす。法制上は各種学校。大正ころから高等教育機関の入学志望者の増加につれて出現し,第2次大戦後は大学浪人の激増に伴い著しく発展した。

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世界大百科事典(旧版)内の予備校の言及

【各種学校】より

…和洋裁,簿記,珠算,自動車整備,調理,栄養,看護婦,保健婦,理容,美容,タイプ,英会話,工業など,種類は多種多様だが,生活上,職業上,学校教育法でいう学校だけでは不十分な面を補完している。課程別生徒数では予備校が最も多く,次いで家政関係,自動車操縦,商業実務関係という順となっている。また高等学校卒業以上を入学資格とする課程の在学者は約3割。…

※「予備校」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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