二糖(読み)にとう(英語表記)disaccharide

翻訳|disaccharide

日本大百科全書(ニッポニカ) 「二糖」の意味・わかりやすい解説

二糖
にとう
disaccharide

2分子の単糖グリコシド結合した糖質の総称オリゴ糖少糖)の一種。ビオースbioseともいう(bi-は2個の意味を表す接頭語である)。グリコシド結合とは、単糖のアノマー性ヒドロキシ基-OH(単糖が環状構造を形成するときにできたヒドロキシ基)の水素が他の化合物と置換してできる結合のことである。アノマー性ヒドロキシ基は潜在的に還元作用をもっているので、二糖を形成するときにアノマー性ヒドロキシ基どうしが結合してできた二糖は非還元性である。しかし一方の糖のアノマー性ヒドロキシ基と他方のアノマー性以外のヒドロキシ基が結合してできた二糖は還元性を示す。植物界に多くの種類の二糖が遊離の状態あるいは配糖体(非糖物質に糖がグリコシド結合したもの)として広く分布している。還元性二糖(マルトースラクトースなど)はフェーリング液(還元糖の検出と定量に使用する試薬)を還元し、ヒドラジン誘導体と反応してヒドラゾンオサゾンを生じ、水溶液は変旋光を示す。非還元性二糖(サッカローストレハロースなど)は変旋光(旋光性が変化する現象)を示さない。同一単糖からなる二糖をホモ二糖(キシロビオース、トレハロース、マルトースなど)、異種単糖からなる二糖をヘテロ二糖(ラクトース、サッカロースなど)という。また、ウロン酸アミノ糖を含む二糖もある。

[徳久幸子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「二糖」の解説

二糖(類)
ニトウルイ
disaccharide(s)

ビオースともいう.加水分解により2分子の単糖を生じるオリゴ糖の総称.構成単糖類の組合せにより多数のものが考えられるが,天然産のものは,2分子ともヘキソースであるのが普通である.構成単糖の結合様式により2種類に分類される.
(1)トレハロース形二糖類トレハロース,サッカロースなどのように,構成単糖のヘミアセタール性ヒドロキシ基の間で脱水縮合した構造をもつもの.還元糖ではなく,変旋光を示さない.
(2)マルトース形二糖類:マルトースセロビオースゲンチオビオースラクトースなどのように,一方の構成単糖類のヘミアセタール性ヒドロキシ基と他方のアルコール性ヒドロキシ基の間で脱水縮合した構造をもつもの.変旋光を示し,フェーリング液やアンモニア性硝酸銀溶液を還元し,配糖体をつくるなど,典型的な還元糖の性質を示す.
同一単糖からなるものをホモ二糖,異種単糖間のものをヘテロ二糖という.いずれの二糖類も,広く植物界に遊離または配糖体の形で分布しているので,抽出や部分加水分解により容易に得られるほか,多数の合成例がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「二糖」の解説

二糖

 二糖類ともいう.二つの単糖が脱水縮合した化合物で,加水分解により単糖を生じる.代表的なものに,マルトース,ラクトース,ショ糖などがある.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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