ラクトース(読み)らくとーす(英語表記)lactose

翻訳|lactose

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラクトース」の意味・わかりやすい解説

ラクトース
らくとーす
lactose

グルコースガラクトースからなる二糖で、天然には4-O-β(ベータ)-D-ガラクトピラノシル-D-グルコピラノースとしてみいだされ、乳糖ともよばれる。哺乳(ほにゅう)類の乳汁成分として存在し、とくに初乳中に多く含まれる。人乳中では6~7%にも達し、このほかにも10種類以上の少糖が含まれているが、いずれもラクトースを骨格構造としてもっている。また、乳汁以外にはあまりみいだされていないが、植物の種子でいくつかの報告がある。

 ラクトースの分解はラクターゼによって行われるが、一方、生合成乳腺(にゅうせん)内でUDP(ウリジン二リン酸)-ガラクトースからガラクトースを転移する反応により生成される。この転移反応を触媒する酵素は、乳汁や乳腺中にみいだされるガラクトシルトランスフェラーゼで、アロステリックタンパク質の一種である。この酵素はα(アルファ)-ラクトアルブミン血清タンパク質の一種)を結合するときにグルコースを受容体としてラクトースを合成するが、この酵素だけの場合はグルコースではなく、N-アセチルグルコサミンにガラクトースが転移されてN-アセチルラクトサミンが生成される。これは生物のもつ調節機構の一例であり、出産後にはα-ラクトアルブミンが増加して、乳児に必要なラクトースの合成が促進される。なお、ラクトースは腸のラクターゼによって加水分解されたのち吸収される。

村松 喬]


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