五輪書(読み)ごりんのしょ

精選版 日本国語大辞典 「五輪書」の意味・読み・例文・類語

ごりんのしょ【五輪書】

江戸前期の武道書。五巻宮本武蔵著。正保二年(一六四五)頃成立。地・水・火・風・空の五部に分類し、兵法極意を説いたもの。五輪の巻。

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デジタル大辞泉 「五輪書」の意味・読み・例文・類語

ごりんのしょ【五輪書】

江戸前期の武道書。5巻。宮本武蔵著。成立年代未詳。兵法の奥義を、地・水・火・風・空の5部に分類して説いたもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「五輪書」の意味・わかりやすい解説

五輪書 (ごりんのしょ)

江戸初期の兵法書。二天一流の流祖宮本武蔵の著。仏教の〈五大〉,地水火風空にかたどって5巻に分かれ,地の巻は兵法の大意,水の巻は兵法の利,火の巻は合戦の理,風の巻は他流の評論,空の巻は兵法の奥義について述べている。1643年(寛永20)から45年(正保2)5月,死の直前にかけて,肥後の地,岩戸山にこもって書き上げたといわれるが,武蔵自筆本が現存せず,成立について疑問は残る。しかし《五輪書》は,1641年客分として仕えていた熊本藩主細川忠利に,兵法の見立て,心持ちについて書き上げた《兵法三十五箇条》を敷衍(ふえん),肉付けしたものであり,武蔵の兵法観,武芸観をまとめたものであることに変りはない。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「五輪書」の意味・わかりやすい解説

五輪書
ごりんのしょ

兵法(へいほう)二天一流(にてんいちりゅう)の基本的伝書で、流祖宮本武蔵玄信(むさしげんしん)(1584―1645)の遺書と伝えられる。全5巻。武蔵の自筆本は現存せず、写本としては、その没後20余年を経た1667年(寛文7)5月、高弟寺尾孫之丞(まごのじょう)が門人山本源介にあてた巻子本(かんすぼん)(細川家永青(えいせい)文庫蔵)が善本とされる。その骨子は、1641年(寛永18)藩主細川忠利(ただとし)に奉呈した「兵法三十五箇条」とよばれる覚書にみられ、これを敷衍(ふえん)し、肉づけしたもので、内容は、仏教でいう地水火風空の五大五輪にかたどって5巻に編成されている。武蔵独自の兵法観、および二刀兵法の太刀(たち)筋の正当性について、簡潔平易な文章で力強く表現されており、近世初期の流派武道伝書の白眉(はくび)とされている。

[渡邉一郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「五輪書」の意味・わかりやすい解説

五輪書
ごりんのしょ

江戸時代の剣豪宮本武蔵の著書。「地」「水」「火」「風」「空」の5巻より成る。寛永 20 (1643) 年,60歳のときのものという。武蔵が会得した兵法の技術のみならず,その兵法のうちに貫流しているきびしい心構えをも記す。その記述は微細にわたり,剣の使い方の姿勢,目のつけ方,太刀の持ち方,足の運び方,構え,太刀運び,拍子,太刀の打ち方,敵との間隔などが記される一方,集団的戦闘の際の軍法にも及んでいる。さらに,二天流と称する彼の兵法と他流の兵法との比較についても論じられている。最後の「空」巻において,「あるものがあると知りつつ,そのあるにとらわれない」という彼の兵法の神髄が表現されている。

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百科事典マイペディア 「五輪書」の意味・わかりやすい解説

五輪書【ごりんのしょ】

宮本武蔵の兵法書。序と地水火風空の5巻からなる。一生の間に自得した兵法の極意を,門人寺尾勝延に形見として与えたものとされ,序に寛永20年(1643年),60歳のときから書くとあるが,自筆本が現存せず,成立については疑問も残る。

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世界大百科事典(旧版)内の五輪書の言及

【宮本武蔵】より

…二天一流(円明流,武蔵流ともいう)剣法の祖。《五輪書》の著者。二天と号した。…

※「五輪書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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