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交通経済学 こうつうけいざいがくtransportation economics

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

交通経済学
こうつうけいざいがく
transportation economics

社会資源が経済構造との関連で交通部門にどのように配分されているか,さらに交通部門内部で各種交通手段にどのように配分されているか,またそれらは適切であるか否かなどを分析する経済学の応用分野。まず J.B.セーらの古典学派により問題とされ,F.リスト以来,K.ラウ,A.ワーグナーらの歴史学派にいたり本格的に成立,鉄道,汽船,郵便制の普及を国家政策として取上げた。またイギリスの D.ラードナーが"Railway Economy" (1850) を著わし独立の学問としての交通学を取上げ,さらにアメリカの H.C.ケアリーがその理論の体系化に貢献。その後 19世紀末の交通革命の完成期にかけて G.コーン,E.ザックス,L.コルソン,A.ハドレー,C.クーリー,V.ボルクトらによって体系化された。 20世紀に入り交通自体の著しい進歩に伴い,交通経済学も鉄道,水運,自動車,航空,通信などの専門分野に分れ,また交通市場の地域格差や,その市場競争を規制する制度,都市計画などと深く関連するため,都市経済学,地域経済学,公共経済学などの諸領域および経済学以外の学問領域とも密接な関係をもって発展している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

こうつうけいざいがく【交通経済学】

人間や物の空間における移動(地理的移動)である交通という現象の経済的側面を対象とする学問で,応用経済学の一分野である。その特徴は,経済理論や経済学の他の分野では捨象されている空間の概念を明示的に扱っていることと,歴史的に国家が交通市場へ直接政策的介入をしてきたので,政府の規制下にある市場を対象にしていることである。交通経済学は応用経済学の分野でもその歴史が古く,日本でも明治時代から大学の教科の一つになっていた。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

交通経済学
こうつうけいざいがく
economics of transportation

経済学の方法論を使用することによって、交通に関する諸現象の解明と、それに基づく政策評価や政策提言を行う応用経済学の一分野。ミクロ経済学からのアプローチが一般的である。日本における交通に関する講座は、第二次世界大戦以前より物流や保険に関する一領域として、陸運論、海運論などの科目名で、大学の商学部系統に置かれることが多かった。しかし、戦後の急速な経済学の進展により、交通に関する研究領域は急速に経済学と接近し、現在では商学部や経営学部において交通論関係科目が置かれているのと同様に、経済学部において交通経済学をはじめとした交通に関する科目が設置されている。
 経済学における交通問題の認識は比較的古く、厚生経済学の始祖といわれるA・C・ピグーは、1920年の『厚生経済学』において、鉄道に関するさまざまな問題を経済学における分析の事例として取り上げている。交通経済学のおもな研究対象は、運賃をはじめとして、交通に関する規制(公的介入のあり方)、投資、補助など多岐にわたる。具体的な例をあげると、効率と公正の観点からみた運賃水準や運賃体系のあり方、交通市場への価格規制や参入規制のあり方、混雑問題緩和のための政策分析、投資効果分析(費用・便益分析など)、交通ネットワークにおける内部補助のあり方、地方閑散路線の交通サービス確保のあり方などがある。また交通に関する統計が豊富であることから、計量経済学の手法を用いた交通データの計量分析も盛んに行われている。
 交通は都市計画や地域開発などにも関係することから、都市経済学、地域経済学との関係が深い。そして、昔から国家により規制の対象とされてきたこともあって、公的介入や産業政策の視点から、公共経済学、産業組織論などとの関係も深い。また、交通に関する環境問題も重要視されていることから、環境経済学との関連もある。さらに、交通企業経営という観点から経営学との関連もあり、ロジスティクス(物流)との関係もある。[竹内健蔵]
『山内弘隆・竹内健蔵著『交通経済学』(2002・有斐閣) ▽衛藤卓也著『交通経済論の展開』(2003・千倉書房) ▽竹内健蔵著『交通経済学入門』(2008・有斐閣)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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