マンモス(その他表記)mammoth

翻訳|mammoth

デジタル大辞泉 「マンモス」の意味・読み・例文・類語

マンモス(mammoth)

新生代第四紀更新世後期に生息し、最終氷期に絶滅した象。ユーラシア大陸北部からアラスカ・カナダ東部にかけて化石出土インドゾウ近縁で、体高約3.5メートル、全身が30~40センチの長い剛毛で覆われ、皮下脂肪が厚く、長く湾曲した牙をもつ。北海道では歯の化石が発見されており、シベリアからは凍結死体が発掘された。
名詞の上に付いて接頭語的に用い、巨大な、大型の、などの意を表す。「マンモス都市」「マンモスタンカー」
[類語](1巨象アジア象アフリカ象インド象丸耳象ナウマン象/(2大きい大きな大いなるでかいでっかいどでかい馬鹿でかい大振り大形大柄大口大作り大粒粗大肥大嵩張かさばビッグ巨大ジャンボジャイアントマクロマキシマムキングサイズ過大豪壮雄大壮大大規模壮麗広壮極大最大特大強大超弩級ちょうどきゅう大掛かり大仕掛け大大的でかでか

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精選版 日本国語大辞典 「マンモス」の意味・読み・例文・類語

マンモス

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( [英語] mammoth ) ゾウ科の化石哺乳類。氷河時代に北半球の寒冷地に生息したゾウ類で、最大のものは体高二・八メートル。体形は現在のゾウに似ているが体は茶黒色の長毛でおおわれ、上方に湾曲した長大な牙をもつ。スゲやカバの木などを食料とした。ヨーロッパ北部・シベリア・中国・北アメリカ・北海道などで化石が発見され、シベリアでは凍土中に凍結した遺体も発掘される。〔舶来語便覧(1912)〕
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 名詞の上に付けて、[ 一 ]のように巨大な、大型のの意を添える。
    1. [初出の実例]「中にはマンモス・ページといって五百四十ページもの新聞が出現する有様で」(出典:新聞(1950)〈毎日新聞図書編集部〉二)

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改訂新版 世界大百科事典 「マンモス」の意味・わかりやすい解説

マンモス
mammoth

長鼻類ゾウ科の1属。化石ゾウの1グループで,この名は〈大地に住むもの〉という意味のタタール語のママントゥに由来するといわれ,マストドンの学名のマンムトMammutと同じ語源である。また,シベリアで発見される多量のマンモスのきばを交易していたアラブ商人たちがカバを指して使ったとされるメヘモスという語,または聖書(《ヨブ記》40章)のビヒモスに由来するともいわれる。1796年にG.キュビエは,シベリアの化石ゾウがインドゾウやアフリカゾウともちがうのでエレファス・マンモスElephas mammothという学名をつけて別種とした。1799年にはJ.F.ブルーメンバハによりエレファス・プリミゲニウスE.primigenius(最初に生まれたゾウの意)とされ,その後,属名としてマムーサスMammuthusが用いられるようになり今日に至っている。一般には,マンモスといえば,このプリミゲニウスゾウM.primigenius,つまり,氷河時代の更新世後期にヨーロッパ,アジア北部,北アメリカ北部に広く分布した有毛のゾウによって代表される。しかし,このプリミゲニウスゾウを最後のものとするマンモスの系統の起源は鮮新世のアフリカ大陸に求められ,進化とともに次々に種が交代したことが知られている。約150万年前の更新世前期には,アフリカからヨーロッパに移住していた〈暖帯のマンモス〉のメリディオナリスゾウM.meridionalisウクライナ,シベリアから北アメリカ大陸にまで移動し,マンモスの系統はユーラシアと北アメリカでそれぞれ独自の発展をとげることとなった。このメリディオナリスゾウより進化したものが,ユーラシアでは〈温帯のマンモス〉のトロゴンテリゾウM.trogontheriiアルメニアゾウ),北アメリカではコロンビアゾウM.columbi(または帝王マンモス)で,両者とも肩高4mに達する巨大なものであった。これに対し,最終の〈寒帯のマンモス〉のプリミゲニウスゾウは,最大のものでも肩高2.8mとインドゾウと同じぐらいの大きさである。プリミゲニウスゾウは主としてユーラシア北部に分布していたが,最終氷期には陸化したベーリング陸橋を渡って北アメリカ大陸にも移動し,コロンビアゾウの子孫のジェファーソンゾウM.jeffersoniiと共存した。プリミゲニウスゾウもジェファーソンゾウも1万1000年から8200年前の間に絶滅しているが,後期旧石器人類のマンモス・ハンターの活躍との関係が深い。シベリアやアラスカでは40頭以上の氷漬け遺体が,またヨーロッパ南部やウクライナの洞窟遺跡には旧石器人の描いたマンモスの壁画が残されているが,黒色の長い剛毛で体表をおおわれ,皮下脂肪が厚く,頭頂部が高い特徴がよく示され,背中が高まり腰の部分は低く,尾が短く耳は小さかったことがわかる。乾燥した草原の生活者で,多種多様の草やコケ,果実を食べた。日本では,北海道の夕張や襟裳岬で臼歯の化石が発見されていて,オホーツク海の海底にもその化石は多い。更新世末期の5万~1万年前には,有毛のプリミゲニウスゾウを中心として,ケサイヘラジカ,トナカイ,ナキウサギ,ジャコウウシなどによって構成されたマンモス動物群が,ユーラシア大陸の北部を特徴づけていた。
ゾウ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マンモス」の意味・わかりやすい解説

マンモス
Mammuthus; mammoth

長鼻目ゾウ亜目に属する化石属。ゾウ類を細分することに反対の学者は Elephas の属名で呼ぶことがある。この属にはいろいろな種が区別されているが,ほとんどのマンモスは現生のゾウとほぼ同大かやや小型である。真正マンモスの祖とされる M.meridionalis(または Archidiskodon)は「暖帯のマンモス」とも呼ばれ,第四紀更新世前期にアフリカ大陸からヨーロッパ南部に進出し,その後ユーラシア大陸から北アメリカ大陸まで分布を広げた。このグループから,更新世中期の草原と寒冷気候に適応した「温帯のマンモス」トロゴンテリゾウ,更新世後期のさらに寒冷な気候に適応した「毛深いマンモス」M.primigenius などが出現した。M.primigenius は,肩までの高さ最大 3m,ユーラシアや北アメリカの寒帯地域にすみ,北海道まで南下している。体毛から内臓,胃の内容まで保存されている氷漬の化石が得られており,淡褐色から暗褐色の長い剛毛に覆われ,厚い皮下脂肪をもつことや,太く,螺旋状に曲がった牙をもつ全骨格もわかっている。

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百科事典マイペディア 「マンモス」の意味・わかりやすい解説

マンモス

化石ゾウの一つ。広義にはマンモス亜科の総称だが,狭義には毛長マンモス(プリミゲニウスゾウ)をさし,更新世のころユーラシア北部や北米に生息した。シベリアの毛長マンモスは肩高2.8mほどでインドゾウと等しく,ヨーロッパ産マンモス(アルメニアゾウ)は肩高3.2〜3.9mで,アフリカゾウとほぼ等しい。最大はドイツで発見されたもので,肩高4.3m。毛長マンモスは,体に褐色の長毛が密生し,皮下脂肪層の厚さは9cmもあるなど寒冷気候への適応が著しい,指は4本(現生種5本),牙(きば)は大きく(最大5m)半円状に曲がり,肩から腰にかけて体の傾きが大きいなどの特徴をもつ。シベリアからは氷づけの個体が発見され,植物片や花粉など胃の中の残渣(ざんさ)から当時の植生・気候などが推定されている。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「マンモス」の解説

マンモス

更新世後期に,ユーラシア大陸北部および北アメリカ北部の寒冷地域に生息していた長鼻目ゾウ科の哺乳動物。現在は絶滅。最終氷期に北海道まで南下したことが知られるが,本州からは化石が発見されない。全身が長い剛毛におおわれ,太い牙,厚い皮下脂肪をもつなどの特徴があり,アジア象にくらべると小さい。シベリアやアラスカでは多数の冷凍マンモスが発見される。

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世界大百科事典(旧版)内のマンモスの言及

【長鼻類】より

…中新世~更新世に広く分布したマンムト科(マンムトまたはアメリカマストドンMammut,ジゴロフォドンZygolophodon)は前科に似てしばしば同科とされるが臼歯の乳頭状突起が横列を形成する。中新世に現れたゾウ科(ステゴドンStegodon,マンモスMammuthus,現生のゾウ)は下のきばを欠き,臼歯の歯冠部が高く,咬面に多数の横畝があり,草その他の硬い植物を食べるのに適する。 アフリカの始新世~漸新世のバリテリウム科(バリテリウムBarytherium)は下の切歯が大きく,臼歯がメリテリウムに似るが,化石が貧弱で詳しいことがわからない。…

※「マンモス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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