デジタル大辞泉 「マンモス」の意味・読み・例文・類語
マンモス(mammoth)
2 名詞の上に付いて接頭語的に用い、巨大な、大型の、などの意を表す。「
[類語](1)象・巨象・アジア象・アフリカ象・インド象・丸耳象・ナウマン象/(2)大きい・大きな・大いなる・でかい・でっかい・どでかい・馬鹿でかい・大振り・大形・大柄・大口・大作り・大粒・粗大・肥大・
長鼻類ゾウ科の1属。化石ゾウの1グループで,この名は〈大地に住むもの〉という意味のタタール語のママントゥに由来するといわれ,マストドンの学名のマンムトMammutと同じ語源である。また,シベリアで発見される多量のマンモスのきばを交易していたアラブ商人たちがカバを指して使ったとされるメヘモスという語,または聖書(《ヨブ記》40章)のビヒモスに由来するともいわれる。1796年にG.キュビエは,シベリアの化石ゾウがインドゾウやアフリカゾウともちがうのでエレファス・マンモスElephas mammothという学名をつけて別種とした。1799年にはJ.F.ブルーメンバハによりエレファス・プリミゲニウスE.primigenius(最初に生まれたゾウの意)とされ,その後,属名としてマムーサスMammuthusが用いられるようになり今日に至っている。一般には,マンモスといえば,このプリミゲニウスゾウM.primigenius,つまり,氷河時代の更新世後期にヨーロッパ,アジア北部,北アメリカ北部に広く分布した有毛のゾウによって代表される。しかし,このプリミゲニウスゾウを最後のものとするマンモスの系統の起源は鮮新世のアフリカ大陸に求められ,進化とともに次々に種が交代したことが知られている。約150万年前の更新世前期には,アフリカからヨーロッパに移住していた〈暖帯のマンモス〉のメリディオナリスゾウM.meridionalisがウクライナ,シベリアから北アメリカ大陸にまで移動し,マンモスの系統はユーラシアと北アメリカでそれぞれ独自の発展をとげることとなった。このメリディオナリスゾウより進化したものが,ユーラシアでは〈温帯のマンモス〉のトロゴンテリゾウM.trogontherii(アルメニアゾウ),北アメリカではコロンビアゾウM.columbi(または帝王マンモス)で,両者とも肩高4mに達する巨大なものであった。これに対し,最終の〈寒帯のマンモス〉のプリミゲニウスゾウは,最大のものでも肩高2.8mとインドゾウと同じぐらいの大きさである。プリミゲニウスゾウは主としてユーラシア北部に分布していたが,最終氷期には陸化したベーリング陸橋を渡って北アメリカ大陸にも移動し,コロンビアゾウの子孫のジェファーソンゾウM.jeffersoniiと共存した。プリミゲニウスゾウもジェファーソンゾウも1万1000年から8200年前の間に絶滅しているが,後期旧石器人類のマンモス・ハンターの活躍との関係が深い。シベリアやアラスカでは40頭以上の氷漬け遺体が,またヨーロッパ南部やウクライナの洞窟遺跡には旧石器人の描いたマンモスの壁画が残されているが,黒色の長い剛毛で体表をおおわれ,皮下脂肪が厚く,頭頂部が高い特徴がよく示され,背中が高まり腰の部分は低く,尾が短く耳は小さかったことがわかる。乾燥した草原の生活者で,多種多様の草やコケ,果実を食べた。日本では,北海道の夕張や襟裳岬で臼歯の化石が発見されていて,オホーツク海の海底にもその化石は多い。更新世末期の5万~1万年前には,有毛のプリミゲニウスゾウを中心として,ケサイ,ヘラジカ,トナカイ,ナキウサギ,ジャコウウシなどによって構成されたマンモス動物群が,ユーラシア大陸の北部を特徴づけていた。
→ゾウ
執筆者:亀井 節夫
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更新世後期に,ユーラシア大陸北部および北アメリカ北部の寒冷地域に生息していた長鼻目ゾウ科の哺乳動物。現在は絶滅。最終氷期に北海道まで南下したことが知られるが,本州からは化石が発見されない。全身が長い剛毛におおわれ,太い牙,厚い皮下脂肪をもつなどの特徴があり,アジア象にくらべると小さい。シベリアやアラスカでは多数の冷凍マンモスが発見される。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…中新世~更新世に広く分布したマンムト科(マンムトまたはアメリカマストドンMammut,ジゴロフォドンZygolophodon)は前科に似てしばしば同科とされるが臼歯の乳頭状突起が横列を形成する。中新世に現れたゾウ科(ステゴドンStegodon,マンモスMammuthus,現生のゾウ)は下のきばを欠き,臼歯の歯冠部が高く,咬面に多数の横畝があり,草その他の硬い植物を食べるのに適する。 アフリカの始新世~漸新世のバリテリウム科(バリテリウムBarytherium)は下の切歯が大きく,臼歯がメリテリウムに似るが,化石が貧弱で詳しいことがわからない。…
※「マンモス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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