人形石(読み)にんぎょうせき(英語表記)ningyoite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「人形石」の意味・わかりやすい解説

人形石
にんぎょうせき
ningyoite

1959年(昭和34)武藤正らによって岡山人形峠ウラン鉱床中から、その主要鉱石鉱物として報告された新鉱物。黄鉄鉱の微細な結晶と密雑な集合を形成するため、その属性は十分に得られてはいない。容易に分解して燐灰ウラン石(りんかいうらんせき)となる。ロシアカナダでも産出が報告されているが、日本では、原産地とその周辺ウラン鉱床以外からは知られていない。

加藤 昭]


人形石(データノート)
にんぎょうせきでーたのーと

人形石
 英名    ningyoite
 化学式   CaU4+[PO4]2・1~2H2O
 少量成分  ΣY,Sr
 結晶系   斜方直方
 硬度    (未決定)
 比重    4.70
 色     黒
 光沢    土状
 条痕    黒
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照
 その他   強放射性

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改訂新版 世界大百科事典 「人形石」の意味・わかりやすい解説

人形石 (にんぎょういし)
ningyoite

岡山・鳥取県境の人形峠ウラン鉱床で発見され,1959年に記載された新種のウラン鉱物。理想化学組成(U4⁺,Ca,Ce)2(PO42・1~2H2O。斜方(擬六方)晶系。比重3.2~3.5。5μm以下の菱形,短冊形の微晶として砂岩・レキ岩層中の空隙を埋め,あるいは鉱染状に産出する。透過光による顕微鏡観察では淡緑色透明であるが,微粒の黄鉄鉱,白鉄鉱,セッコウ,有機物と密雑共生するため,肉眼では黒色すす状,霜柱状に見える。人形峠および周辺の鉱床の非酸化帯ではウランの主要鉱石鉱物となっている。微細で同定が難しく世界的に希産とされてきたが,1981年,カナダのブリティッシュ・コロンビア州で同様の産状が確認された。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「人形石」の意味・わかりやすい解説

人形石
にんぎょうせき
ningyoite

ウラン鉱の一種。 Ca1-xU1-xR2x(PO4)2nH2O 。Rは希土類元素。比重 3.2~3.5。斜方晶系。岡山,鳥取県境の人形峠で 1955年発見された。リン酸塩。酸化ウランの含有量 23%。黒色すす状で産出し,59年に新鉱物として記載された。

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