今官一(読み)コンカンイチ

デジタル大辞泉 「今官一」の意味・読み・例文・類語

こん‐かんいち〔‐クワンイチ〕【今官一】

[1909~1983]小説家青森の生まれ。日本浪曼派にほんろうまんは参加、叙情的なタッチで戦争体験や歴史テーマとする小説を執筆した。「壁の花」で直木賞受賞。他に「幻花行」「牛飼いの座」など。

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20世紀日本人名事典 「今官一」の解説

今 官一
コン カンイチ

昭和期の小説家,詩人



生年
明治42(1909)年12月8日

没年
昭和58(1983)年3月1日

出生地
青森県弘前市

学歴〔年〕
早稲田第一高等学院露文科〔昭和5年〕中退

主な受賞名〔年〕
直木賞(第35回)〔昭和31年〕「壁の花」

経歴
東奥義塾中学3年の時、詩人・福士幸次郎が教師として赴任。その影響を受けて詩作を始める。早稲田中退後、一時帰郷するが、昭和6年再び上京し、横光利一に師事。8年古谷綱武らと「海豹」を、9年太宰治らと「青い花」を創刊。編集発行人となったが1号で終刊。翌10年「日本浪曼派」に合流。以降戦後にかけて「日本未来派」「歴程」などにも参加。13年「旅雁の章」など3部作で芥川賞候補となり注目を集める。文壇に独自の位置を占めた。19年応召、戦艦長門乗船レイテ沖海戦に参加、このときの体験を「幻花行」「不沈戦艦長門」に作品化した。30年「銀簪」が直木賞候補となり、31年短編集「壁の花」で第35回直木賞受賞。「現代人」主宰。54年脳卒中で入院、翌年弘前市に帰郷、車イスの生活で口述筆記による作家活動を続けた。他の主な著書に「海鷗の章」「龍の章」「巨いなる樹々の落葉」、詩集に「隅田川」などがある。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「今官一」の意味・わかりやすい解説

今官一
こんかんいち
(1909―1983)

小説家。青森県生まれ。早稲田(わせだ)大学露文科中退。1933年(昭和8)太宰治(だざいおさむ)らと同人誌『海豹(かいひょう)』を創刊、ついで『日本浪曼(ろうまん)派』(1935)に参加した。40年創作集『海鴎(かいおう)の章』刊行。56年(昭和31)創作集『壁の花』で直木賞受賞。ほかに戦中「長門(ながと)」に乗艦した体験に取材した『幻花行』(1949)、『不沈戦艦・長門』(1972)、歴史小説『牛飼の座』(1961)など。叙情性豊かな芸術派的作風に特色がある。

[東郷克美]

『『今官一作品』全2巻(1980・津軽書房)』

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百科事典マイペディア 「今官一」の意味・わかりやすい解説

今官一【こんかんいち】

小説家。弘前市生れ。早大露文科中退。早稲田高等学院時代にプロレタリア映画同盟加盟。《海豹》《青い花》などの同人誌を創刊。1935年〈日本浪曼派〉に参加。1944年応召,この時の経験をもとに《幻花行》(1949年)を執筆した。《壁の花》(1956年)で第35回直木賞受賞。他に《海鴎の章》がある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「今官一」の解説

今官一 こん-かんいち

1909-1983 昭和時代の小説家。
明治42年12月8日生まれ。昭和9年檀(だん)一雄,太宰(だざい)治らと同人誌「青い花」を発刊。10年「日本浪曼(ろうまん)派」に参加する。「海鴎(かいおう)の章」「幻花行」などで注目され,31年「壁の花」で直木賞。昭和58年3月1日死去。73歳。青森県出身。早大中退。

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367日誕生日大事典 「今官一」の解説

今 官一 (こん かんいち)

生年月日:1909年12月8日
昭和時代の小説家;詩人
1983年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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