小児期によくみられる皮膚の軟らかいいぼです。性行為感染症として、成人の陰部にみられることもあります。
伝染性軟属腫ウイルスの感染によって発症します。感染様式は接触感染で、アトピー性皮膚炎やそのほかの要因により皮膚のバリア機能に障害がある時に感染しやすいといえます。
単発あるいは多発性に認められる径1~5㎜ほどの
臨床的にみずみずしい外観のドーム状小丘疹があれば、診断は容易です。ほかの病気との区別が必要な場合は、
現在のところ、本症に対する安全かつ有効な抗ウイルス薬は存在しません。統計的には、放置しても平均して約半年の経過で自然に脱落すると報告されていますが、年余にわたって存在し、数が増えることもあります。
不快感を取り除くため、また、ほかへの伝搬を予防する意味でも、
性行為感染症としての本症では、鉗子などによる除去を第一選択として行います。
安元 慎一郎
ポックスウイルス科モルシポックスウイルス属の、伝染性軟属腫ウイルスの感染によります。いわゆる「みずいぼ」のことです。一般に小児、とくにアトピー性皮膚炎の小児によく起こり、プールで感染することが多くみられます。
また、性行為感染症(STI)として、成人の性器に多発することがあります。
主に、
表面は平滑で、白色~皮膚色で
ピンセットでつまむと、乳白色の
ピンセットで一つ一つ摘み取るのが最も確実な方法です。液体
みずいぼが増えない前に、できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。
本田 まりこ
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
俗に〈みずいぼ〉あるいは〈百いぼ〉と呼ばれるもので,ポックスウイルス科に属する伝染性軟属腫ウイルスの感染によって皮膚にできる腫瘤。学童期以下の幼小児に多く,成人にみることは少ない。アワ粒大からエンドウ大までの半球状に隆起し,中心にへそ様のくぼみのある小腫瘤で,表面は皮膚色で蠟様の光沢がある。つまむと白色粥状の塊が排出されるが,これにウイルスが含まれており,接触により伝染する。水泳教室における流行が問題となっている。単発性のこともあるが,かたまって多発することが多い。全身いたるところにみられるが,腋窩(えきか)や側胸部などすれやすい部分にみられることが多く,手掌や足底にはみられない。アトピー性皮膚炎などのある子どもでは,かききずによって,湿疹局面内に無数に生ずることもある。挫滅(つぶれること)や二次感染などによって自壊し,自然に治癒することもあるが,ピンセットで内容を圧出すると,数日で治癒する。
執筆者:新村 真人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…また,暗示によっていぼがとれることもある。 なお,俗に〈みずいぼ〉と呼ばれるものは,伝染性軟属腫molluscum contagiosumといい,ポックスウイルス科に属するウイルスの感染によりおこる。アズキ大以下の,皮膚面から半球状に盛り上がる表面がなめらかで光沢のある腫瘍で,中央部に陥凹がみられるのが特徴である。…
…また,暗示によっていぼがとれることもある。 なお,俗に〈みずいぼ〉と呼ばれるものは,伝染性軟属腫molluscum contagiosumといい,ポックスウイルス科に属するウイルスの感染によりおこる。アズキ大以下の,皮膚面から半球状に盛り上がる表面がなめらかで光沢のある腫瘍で,中央部に陥凹がみられるのが特徴である。…
※「伝染性軟属腫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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