低用量ピル(読み)ていようりょうピル

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

低用量ピル
ていようりょうピル

卵胞ホルモンが 0.05ミリグラム未満の経口避妊薬 (ピル) 。日本では 1999年承認された。 1990年以来製薬会社十数社から輸入・製造の申請が出されていたが,承認するとコンドームが使われなくなり,エイズ予防の観点から望ましくないとして 92年以降審議は先送りされ許可には9年を要した。卵胞・黄体ホルモン混合製剤自体は,月経困難症などの治療用として早くから認可されており,これを避妊用に転用していた人は多かった。ホルモン量によっては,心筋梗塞脳卒中血栓症などの副作用が心配されている。

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知恵蔵の解説

低用量ピル

ホルモン量の少ない経口避妊薬卵胞ホルモンと黄体ホルモンを含有するいわゆるピルは、排卵を抑えて避妊作用を発揮するもので、1960年に米国で最初に認可された。現在では効果が高く副作用の少ない低用量ピルが使われている。日本では、99年にようやく認可された。ピル服用が危険とされるのは、エストロゲン依存性腫瘍(乳がん等)、血栓症、高血圧、肝障害、大手術前後、35歳以上のヘビースモーカーなどの女性。服用に当たっては、医師による問診と定期的な検査が必要。一方、2006年2月、日本産科婦人科学会は低用量ピル使用のガイドラインの改定を行い、ピル使用に際し問診と血圧測定を定期的に行うことの他、わかりやすい服薬指導を明記。副効用としての、子宮内膜がん卵巣がん減少子宮内膜症の進行抑制と症状改善、ニキビの改善、月経痛や経血量の減少、骨量の維持などをより強調している。

(安達知子 愛育病院産婦人科部長 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

低用量ピル

黄体ホルモンと卵胞ホルモンの2種類の合成女性ホルモンが配合されている。月経初日から21日間か28日間、毎日1錠ずつ飲むと、人工的に妊娠と似た状態になり、排卵が抑制され、避妊効果がある。医師の処方が必要で、正しく飲めば避妊効果は100%に近いが、性感染症予防にはならない。血栓症などの副作用があり、乳がんの経験や肝機能障害を持つ人、35歳以上の喫煙者らは使えない。心筋梗塞(こうそく)や脳卒中、乳がん、子宮頸(けい)がんのリスクがわずかに高くなるとの報告もある。

(2006-08-11 朝日新聞 朝刊 生活1)

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百科事典マイペディアの解説

低用量ピル【ていようりょうピル】

卵胞ホルモン(エストロゲン)の含有量が0.05mg未満のピル。平均0.03〜0.04mg。ピルの副作用をできる限り抑える目的で開発された。諸外国では一般に浸透しているが,現在日本で使用されているピルは,卵胞ホルモンが0.05mg以上の中・高用量ピルがほとんど。 ピルを服用すると高い避妊効果が得られるが,一方で胃腸障害,血栓症,発癌(がん)の可能性などの副作用が問題になっていた。これらは卵胞ホルモンの作用とされ,これを抑えるために,1970年代に入り,低用量ピルが登場したのである。しかし,卵胞ホルモンの量を減らすと,不正性器出血の頻度が高くなってしまう。そこで,卵胞ホルモンの量を抑えたまま,黄体ホルモンの量や質を変えて不正性器出血を防ぐ段階型ピルが開発された。 段階型ピルとは,服用期間を2段階または3段階に分けて,黄体ホルモンの量の異なるピルを用いるもので,黄体ホルモンの量や種類を調節することで,さまざまな副作用の原因とされる卵胞ホルモンの量を低用量に抑えたまま,不正性器出血を防ぐことができる。2段階に分けるものを二相性ピル,3段階のものを三相性ピルと呼ぶ。 低用量ピルでは,月経初日から毎日服用すること,また,段階型ピルでは服用する順序を誤らないことを守りさえすれば,かなり安心して利用することができる。日本の製薬メーカーも製造や輸入を申請しているが,エイズなどの性行為感染症や性病の拡大,性行動の乱れなどに対する危惧を理由に,厚生省は認可を引き延ばし,1999年に市販を認めた。→経口避妊薬

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