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元朝秘史 げんちょうひしYuan-chao mi-shi; Yüan-ch`ao pi-shih

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

元朝秘史
げんちょうひし
Yuan-chao mi-shi; Yüan-ch`ao pi-shih

モンゴル語名"Monggol-un ni`ucha tobcha`an" (モンゴルの秘密の歴史) の漢訳書名。チンギス・ハン家の歴史を「青い狼」の伝説的時代から説き起し,彼の生涯の事跡を述べるのにその大半をさき,太宗オゴデイの業績を書き加えた歴史年代記。文体は重厚にして流麗,内容は 13世紀モンゴル族の社会組織,社会習慣を随所に語り,まさに「草原の香りに満ちた」古典文学の趣をもつ。著者および著作年代については明らかでなく,現在の『元朝秘史』の流布本は全 12巻および全 15巻から成る漢字音訳本 (漢字の音を使ってモンゴル語を表記したもの) であるが,モンゴル語原典は未発見。

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デジタル大辞泉の解説

げんちょうひし〔ゲンテウヒシ〕【元朝秘史】

中国の歴史書。12巻。編者未詳。1240年ごろウイグル文字で書かれたといわれ、原本は残っていないが、漢訳および漢字での音写本がある。チンギス=ハンオゴタイ実録で、説話や伝承もまじる。那珂通世(なかみちよ)の「成吉思汗(ジンギスかん)実録」はその日本語訳。元秘史。

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百科事典マイペディアの解説

元朝秘史【げんちょうひし】

モンゴル帝国チンギス・ハーンを中心に,その先祖からオゴタイ・ハーンまでの伝説・史実を述べたもの。著者不明。12巻。1240年成立と伝えるが異説が多い。モンゴル語で書かれ,明の洪武帝の時,漢字で音写,直訳抄訳をつけ,13世紀モンゴル語研究の重要資料となる。

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世界大百科事典 第2版の解説

げんちょうひし【元朝秘史 Yuán cháo mì shǐ】

モンゴル人がみずからの言葉で記した最古の歴史書的文献。モンゴル名は《モンゴルの秘密の歴史Mongghol‐un ni’ucha tobcha’an》。正集10巻,続集2巻の12巻本と,《永楽大典》抄出15巻本があるが,両者には若干の脱落,錯簡以外に大きな異点はない。著者は不明。著作年代は1240年説を筆頭に諸説があり,なかには1228年から1324年まで追補されつつ作成されたとする説もある。初めウイグル文字かパスパ文字で記されていたが,明朝初期に漢字音訳され,各単語の右側に中国語訳が付され,全体が282節に分かたれ,各節末にその中国口語文意訳が付され,《元朝秘史》という書名が与えられ,ここに世に珍しい体裁の文献が誕生した。

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大辞林 第三版の解説

げんちょうひし【元朝秘史】

モンゴルの史書。正続一二巻。著者不明。1240年頃成立。モンゴルの開国神話からチンギス-ハンの生涯およびオゴタイの即位に至るまでの歴史を記している。明初に漢訳された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

元朝秘史
げんちょうひし

モンゴル帝国時代にモンゴル人がまとめたモンゴル語の史書。原題は『モンゴル秘史』Mongghol-un ni'ucha tobcha'an。著者不明。編纂(へんさん)年代は1200年代の鼠(ねずみ)の年(1240年、1252年、1264年その他の説がある)。明(みん)朝の初めに漢字で音訳され、各語に中国語訳が付され、各節末にその節の中国語意訳が付され、12巻(十五巻本もある)に分けられた。もとの体裁のままのものもモンゴル人の間に存在した。内容はチンギス・ハン(成吉思汗)の事績が中心であり、その前に彼とモンゴル人の祖先の系譜と物語を置き、そのあとにオゴタイ・ハンの治世の事績を付してある。そして全体としてチンギス・ハンとその子孫の支配の正統性の強調と功臣の忠誠、勲功の称揚を基調としている。途中から十二支が配され年代記風となるが、実際は当時のモンゴル人の歴史観や口承の資料に依拠したことなどを反映してか、史実が物語風、叙事詩風に整理され、韻文が随所に盛り込まれている。モンゴルの言語、歴史、民俗その他に関する文字どおり基本文献である。[吉田順一]
『那珂通世訳注『成吉思汗実録』(1943・筑摩書房) ▽村上正二訳注『モンゴル秘史』全3冊(平凡社・東洋文庫)』

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世界大百科事典内の元朝秘史の言及

【ヘーニッシュ】より

…この間中国に2回旅行し,モンゴルにも旅行した。中国語と満州語の研究も行ったが,最も重要なのはモンゴル研究であり,とくに《モンゴル秘史》(《元朝秘史》)のローマ字音写,注釈,語彙,翻訳に関する研究を1931年から41年までかかって出版したのが,最大の業績である。【吉田 順一】。…

※「元朝秘史」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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