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えん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


えん

日本文学における美意識の一つ。上品なあでやかさ,つやのあるはなやかな美などをいう。『天徳歌合』『源氏物語』をはじめ,室町時代にいたるまで,物語,随筆,歌論にみられる。室町時代には心敬が「氷ばかり艶なるはなし」 (『ひとりごと』) といい,内面的に深化した艶に美の理想をみた。

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デジタル大辞泉の解説

あで【艶】

[形動][文][ナリ]《「あて(貴)」の音変化》色っぽくなまめかしいさま。あでやか。「香り高く蘭がに咲く」「姿」

えん【艶】

[名・形動]
あでやかで美しいこと。なまめかしいこと。また、そのさま。「を競う」「な姿」
情趣に富むさま。美しく風情のあるさま。
「月隈なくさしあがりて、空のけしきも―なるに」〈・藤袴〉
しゃれているさま。粋(いき)なさま。
「鈍色の紙の、いとかうばしう―なるに」〈・澪標〉
思わせぶりなさま。
「いとこそ―に、われのみ世にはもののゆゑを知り、心深き、類(たぐひ)はあらじ」〈紫式部日記
中世の歌学や能楽における美的理念の一。感覚的な優美さ。優艶美。妖艶美(ようえんび)。
「詞のやさしく―なるほか、心もおもかげも、いたくはなきなり」〈後鳥羽院御口伝

えん【艶】[漢字項目]

常用漢字] [音]エン(呉)(漢) [訓]つや なまめかしい あでやか
〈エン〉
なまめかしい。色っぽい。「艶歌艶冶(えんや)艶麗濃艶豊艶妖艶(ようえん)
男女の情事に関すること。「艶書艶聞
〈つや〉「艶事色艶
[名のり]おお・もろ・よし

つや【艶】

物の表面から出るしっとりとした光。光沢。「宝石を磨いてを出す」
なめらかで張りがあり美しいこと。「若々しいのある声」「肌にがある」
おもしろみ。味わい。「芸にが出る」
異性間の情事に関すること。「事」

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

えん

?-? 江戸時代前期,南部行信(ゆきのぶ)の側室。
陸奥(むつ)盛岡の材木商岩井与市郎の娘。寛文5年(1665)キリシタン弾圧で処刑された父の晒(さらし)首をもちかえり円光寺で供養する。自身はキリシタンではなく,孝心からのおこないだったためゆるされ,さらに盛岡藩主行信の側室となり信恩(のぶおき)(のち6代藩主)を生んだ。通称はお蓮。法名は慈恩院。

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世界大百科事典 第2版の解説

えん【艶】

元来は,容色の美しいのを意味する漢語で,怨情,媚態,華美,みやび,技巧性,離隔性などあれこれ用いられる。日本でも,《源氏物語》《枕草子》などでは,華麗優雅な上品さ,ほのぼのとした情趣,色めかしさなどの意に用いられた。平安時代の貴族的美意識を反映した語である。歌学用語としても,平安時代すでに歌合判詞や歌論の類に見え,しだいに和歌の美的範疇を表す評語となる。藤原俊成の意識した艶の美には,《源氏物語》の〈もののあはれ〉を受け継ぎ,さらに余情美を求めようとする傾斜が認められる。

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大辞林 第三版の解説

えん【艶】

( 名 ・形動 ) [文] ナリ 
なまめかしく、あでやかである・こと(さま)。 「 -な女性」 「 -な美しさ」 「 -を競う」
歌学の美的理念の一。優雅であでやかな明るい美的感動をさす。余情の深くなったものを妖艶という。
風流なさま。風情のあるさま。 「何心なき空の気色も、ただ見る人から-にも凄くも見ゆるなりけり/源氏 帚木
何ともいえずすてきであるさま。 「鈍色の紙、いとかうばしう-なるに/源氏 澪標
思わせぶりなさま。気取ること。 「例の-なると憎み給ふ/源氏 末摘花

つや【艶】

なめらかな物の表面にあらわれる、うるおいのある美しい光。光沢。 「顔に-がある」 「塗り物を磨いて-を出す」
声が若々しくはりがあること。声がひきしまってよく通ること。 「 -のある声」
(話や態度などに加わる)面白みや味わい。 「 -のない話だ」
粉飾ふんしよく。飾り。 「実際の事実に多少の-を着ける/明暗 漱石
うれしがらせ。お世辞。 「俺ら-いふわけぢやねえが/土
男女の間の情事に関すること。色めいたこと。

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