JAグループを束ねる中核的な組織で、1954年に設立された。全国に約700ある地域農協の経営や事業、組織を指導する権限を持っているほか、政府や与党に政策を提言する政治活動にも力を入れている。職員は約220人。現在の
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全国の農業協同組合(農協、JA)を束ねる中央組織。略称は全中、JA全中。日本の農協組織は、全国に約680ある農協、都道府県ごとにある農業協同組合中央会、全中の3段階形態をとっており、全中は農協組織全体の司令塔的役割を担っている。全国の農協を代表し、日本政府や国際機関と折衝するほか、農産物の生産方針などを総合調整し、国産農産物の消費拡大をPRする広報機能をももつ。個々の農協への経営指導・監査権をもち、農協経営が安定するよう、農協の合併を推進している。会長は各都道府県農業協同組合中央会のトップのなかから選挙で選ばれる。第二次世界大戦後、指導・監査権限をてこに、生産者米価引上げなどの農政運動を主導。国政選挙や地方選挙では、農協の集票力を活用して農林関係議員を動かし、農産物の市場開放や農業分野の規制緩和に一貫して反対してきた。しかし第二次安倍晋三(あべしんぞう)政権は「岩盤規制」とも称される農業分野の規制緩和を進め、個々の農協の経営の自由度を高めるため、2015年(平成27)に農協法を改正して経営指導・監査権をなくし、全中の権限を大幅に縮小した。
第二次世界大戦後の食糧難を解消するため、日本政府は1947年(昭和22)に農協法を制定し、全国に農業者組織である農協を設立した。しかし、ずさんな経営で農協破綻(はたん)が相次いだため、1954年に農協法を改正し、農協の経営を指導・監査する全中を設立した。全中は、個々の農協から、監査などの名目で年間合計約80億円の賦課金を徴収し、運営費にあててきた。2015年の農協法改正で、全中は2019年3月末までに、農協法に基づく特別認可法人から一般社団法人へ移行する。農協への指導・監督権がなくなって賦課金がなくなるため、任意の会費などで運営費をまかなう。しかし改正農協法の附則には、全中が農協の総合調整機能や代表機能をもつことが明記された。
なお、全中のほか、農協の中央組織には、農協の金融(銀行)事業部門の農林中央金庫(農中)、保険事業部門の全国共済農業協同組合連合会(全共連、JA共済連)、農産物販売や必要な資材の購買事業等を行う全国農業協同組合連合会(全農、JA全農)などがある。
[矢野 武 2015年10月20日]
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…都道府県段階の連合会は全国に510ある(1996年3月末現在)。全国連合会には各県の連合会の全国機関として,それぞれ全農(全国農業協同組合連合会),農林中央金庫,全共連(全国共済農業協同組合連合会),全中(全国農業協同組合中央会。〈農協中央会〉の項参照)がある。…
…1954年の農業協同組合法の改正に基づき,農協(農業協同組合)の健全な発達を図ることを目的として,農協の組織や事業に対する指導や監査,教育などを行う指導団体として制度化された。その組織は各府県の単位農協と連合会を会員とする都道府県農業協同組合中央会と,各府県の中央会と全国連合会を会員とする全国農業協同組合中央会(全中と略称)との2段階制をとっており,両者は有機的に作用しあっている。両者とも日本の農協の総括的代表者ないしリーダーとして位置づけられ,農協を代表する機関といえる。…
※「全国農業協同組合中央会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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