用益権(読み)ようえきけん(英語表記)Niessbrauch

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「用益権」の解説

用益権
ようえきけん
Niessbrauch

他人の物または権利に変更を加えることなく,それらから利益収取しうるドイツ民法上の物権 (1030条1項,1068条1項) 。たとえば,他人の土地について用益権の設定を受けたは,その土地を耕作して農作物 (天然果実) を収穫することも,またその土地を使用賃貸して賃料 (法定果実) を収取することも,さらに,その土地を駐車場として使用することもできる。株式について用益権が設定されたときには,用益権者が利益配当を受けることができる。用益権は一身専属権であって,譲渡または相続の対象となりえない (1059,1061条) 。用益権は,夫婦間で生存配偶者を扶養するため,農地の譲渡人が譲渡した農地から扶養を受けるため,あるいは債権担保の目的などで設定されることが多い。日本でも,旧民法ではドイツ,フランスなどにならって,これを規定したが,現民法はこれを認めていない。

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精選版 日本国語大辞典「用益権」の解説

ようえき‐けん【用益権】

〘名〙 使用収益権。また、使用収益権のもととなる用益物権・賃借権などをさす場合もある。〔英和商業新辞彙(1904)〕

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世界大百科事典 第2版「用益権」の解説

ようえきけん【用益権 ususfructus[ラテン]】

物権の一種で,現在の日本民法にはみられない(旧民法では認められていた)が,ドイツやフランスなど西欧諸国の民法には広く認められている。ローマ法以来の定義によれば,他人の物につき,所有者のためにその物の実体を変更することなく,これを使用しその果実(天然果実および法定果実)を収取しうる権利とされている。この制度は,物の経済上の収益を所有者以外の者に一定の期限付きで帰属させる目的に用いられるが,その応用範囲は広い。

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