内部監査(読み)ナイブカンサ(英語表記)internal audit

デジタル大辞泉 「内部監査」の意味・読み・例文・類語

ないぶ‐かんさ【内部監査】

会計士や企業外の監査人による外部監査に対し)企業内部経営者に直結して置かれる職務。経営諸活動が合法的・合理的に行われているかを検討・評価して問題点を指摘し、効率の高い経営を提案する。
[補説]日本内部監査協会が内部監査人の資格試験を実施している。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「内部監査」の意味・読み・例文・類語

ないぶ‐かんさ【内部監査】

  1. 〘 名詞 〙 企業内部の監査機関が行なう監査。会計業務における不正・誤りの発見防止、経営管理制度の評価づけなどを目的とする。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「内部監査」の意味・わかりやすい解説

内部監査
ないぶかんさ
internal audit

企業の内部者によって行われる監査。組織体の経営目標の効果的な達成に役だつことを目的として実施される。外部監査人によって実施される外部監査と対比され、外部監査は強制監査法定監査)であるのに対して、内部監査は任意監査の性格をもつ。内部監査は、会計監査のみならず業務監査にまで及び、合法性と合理性の観点から経営諸活動の遂行状況を検討・評価し、意見を述べ、助言・勧告を行い、さらに特定の経営諸活動の支援を行う。

 外部監査(公認会計士監査)は、企業の第三者的立場から利害関係者に対して、財務諸表の適正性について意見を述べるのに対し、内部監査は、企業内部の立場から、経営諸活動が経営目標に合致しているかどうかについて経営者に対して意見を述べるものである。また、内部監査は、監査結果について意見を述べるだけではなく、発見された問題点について改善提案を行い、その項目が改善・是正されたか、フォローアップもしなければならない。この点も、外部監査と異なるところである。

 内部監査を担当する内部監査部門は、他部門からの制約を受けることなく、公正不偏な態度で監査を遂行しうる環境になければならない。このため組織的に独立し、また原則、最高経営者に直属していることが必要である。さらに、内部監査担当者は、効果的な監査を実施するために、業務や監査に関する十分な知識技能および能力を有していなければならない。

[中村義人 2022年11月17日]

『島田裕次著『はじめての内部監査――監査の基礎知識から実務での応用まで』(2020・日科技連出版社)』『日本内部監査協会編、川村眞一著『現代の実践的内部監査』7訂版(2021・同文舘出版)』『有限責任監査法人トーマツ編『内部監査実務ハンドブック』第3版(2022・中央経済社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内部監査」の意味・わかりやすい解説

内部監査
ないぶかんさ
internal audit

企業の内部に監査課,監査室といった監査実施のための一定部門を設け,自主的に行われる自己監査のこと。内部牽制組織とともに企業の内部統制の一環として,会計記録,会計手続の正確性と妥当性を検証し,不正誤謬を検出するとともに,広く経営者的見地から他の諸管理の有効性および各部門の業務活動を評価する経営者のための監査である。かつて内部監査の領域は会計監査だけであったが,今日では経営管理のために会計記録自体だけでなく,その背後にある業務活動を検討する必要から,経営能率の増進に役立つことを目的とした業務監査にまで領域を拡大し,次第にこの領域が重視されるようになった。業務部門別に行う監査と職能別に行う職能監査あるいは責任監査がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「内部監査」の意味・わかりやすい解説

内部監査【ないぶかんさ】

会計上の誤謬(ごびゅう)や不正の発見・防止のため,特に内部統制システムと結びついて行われる監査。公認会計士による外部監査と区別され,コントローラー部の内部監査人によって制度的に実施される。会計監査だけでなく,能率向上を志向する業務監査にも及ぶ。→コントローラーシステム

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「内部監査」の解説

内部監査

企業や組織の内部の人間が他の部署から独立した立場をとって、組織内での業務遂行を検査することをいう。従来、内部監査は経理部が行なう会計や、各部門の業務の適法性などに留まっていた。しかし最近では、経営戦略の展開や、リスク・アプローチ、顧客満足度など、内部監査の対象の幅が拡大している。また、組織のマネージメントシステム全般が有効に運営されているかを確認するという役割が課されるようになっている。そうした流れの中で、「内部監査室」から「経営監査室」という名称に変更する企業も多くなってきている。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の内部監査の言及

【会計学】より

…財務会計論は,(a)簿記論,(b)財務諸表論,(c)原価計算論,(d)会計監査論等から構成されている。また管理会計論は,(e)原価計算論,(f)予算統制論,(g)経営分析論,(h)内部監査論等を内容としている。端的にいうならば,財務会計論は会計士会計学として,また管理会計論は経営者会計学として,それぞれ特徴づけることができる。…

【会計監査】より

… 会計監査は独立かつ公正な立場でなされなければならないから,会計記録に関与していない第三者によって行われなければならない。この第三者には企業内における第三者と企業外における第三者とがあり,前者には企業の内部監査課や監査役などがあり,後者には公認会計士と監査法人(5名以上の公認会計士によって共同で設立された法人。会計監査人は公認会計士・監査法人のいずれかでなければならない)がある。…

※「内部監査」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android