内部統制システム(読み)ないぶとうせいシステム(その他表記)internal control system

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内部統制システム」の意味・わかりやすい解説

内部統制システム
ないぶとうせいシステム
internal control system

(1) 取締役職務法令定款に適合することを確保するための体制や,会社の業務の適正を確保するために必要なものとして,以下に定める体制を整備すること。すなわち,(a) 取締役の職務執行にかかる情報保全および管理に関する体制,(b) 損失危機の管理(→リスク・マネジメント)に関する規定その他の体制,(c) 取締役の職務執行が効率的に行なわれることを確保するための体制,(d) 使用人の職務執行が法令・定款に適合することを確保するための体制,(e) 会社ならびにその親会社および子会社からなる企業集団における業務の適正を確保するための体制,である。かつては会計監査人会計監査(→監査)をする際の会計的な統制機構であったが,会社法制定以降は,会社の業務が適正に行なわれていることを確保するための全社的な仕組みをいう。内容は取締役会決議(取締役会が設置されていない会社では取締役の過半数)で決定する(会社法362条4項6号,348条3項4号)。大会社では,内部統制システムの構築に関する事項を決定しなければならない(362条5項,348条4項)。
(2) 上場会社等は,事業年度ごとに財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要な体制を経営者が評価した内部統制報告書内閣総理大臣に提出することが義務づけられている(金融商品取引法24条の4の4,1項)。報告書公認会計士または監査法人による監査証明を受けなければならない(193条の2,2項)。

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百科事典マイペディア 「内部統制システム」の意味・わかりやすい解説

内部統制システム【ないぶとうせいシステム】

会社の健全な経営のために必要なリスク管理体制のこと。このシステムを構築することは業務執行の一環とされ,2005年の会社法では,取締役会がこのシステムを構築する権限をもつ。また大会社は必ずこのシステムを整備しなければならない(会社法362条4項6号など)。2002年の商法改正で導入された委員会設置会社監査委員会は内部統制システムを前提とする。〈内部統制〉internal controlという概念は,1990年代前半から米国で提唱され,今日では企業経営の基本として広く普及している。
→関連項目内部監査

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