(読み)オシマズキ

デジタル大辞泉 「几」の意味・読み・例文・類語

おしまずき〔おしまづき〕【×几/机】

脇息きょうそく。〈和名抄
つくえ。
「胸ふさがりて、ただ―にかかりて、夕の空に向かふのみ」〈笈日記・下〉
牛車ぎっしゃ前後の口の下に横に渡した仕切り板。〈名義抄

き【几】[漢字項目]

[音]キ(呉)(漢) [訓]つくえ おしまずき
物を載せたり、ひじや腰を掛けたりする足つきの台。「几案几帳床几しょうぎ浄几

き【×几】

机。
司馬遷は―にったまま」〈中島敦李陵
脇息きょうそく

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精選版 日本国語大辞典 「几」の意味・読み・例文・類語

おしまずきおしまづき【几・机】

  1. 〘 名詞 〙
  2. すわった時、ひじをかけ、身体をささえる道具。脇息(きょうそく)
    1. [初出の実例]「皇子の案机(オシマツキ)の脚、故無くして自(みづから)に断(を)れぬ」(出典日本書紀(720)斉明四年一一月(北野本訓))
  3. 机をいう。
    1. [初出の実例]「胸ふさがりて、ただをしまづきにかかりて、夕の空にむかふのみ」(出典:俳諧・笈日記(1695)下)
  4. 牛車(ぎっしゃ)の前後の口に横にわたした、低い仕切りの板。〔観智院本名義抄(1241)〕

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普及版 字通 「几」の読み・字形・画数・意味


2画

[字音]
[字訓] ひじかけ・つくえ

[説文解字]

[字形] 象形
両端に足のある台の形。机の初文。机は楡に似た木の名で、もと別の字。〔説文〕十四上に「踞几なり」とあり、坐几をいう。老者には特に几を薦めるのが礼で、〔詩、大雅、行〕に「或いは之れに几を授く」という。また祭礼儀礼のときには、薦献のため几を設けた。のち文書を几上で扱うので几案といい、棚に用いるようになって几閣という。

[訓義]
1. ひじかけ。
2. 神尸の依るところ。
3. そなえものの台。
4. つくえ。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕几 於之万岐(おしまつき)〔名義抄〕几 オシマツキ 〔立〕几 オシカカリ

[部首]
〔説文〕に凭(ひよう)・(きよ)・処の三字をこの部に属する。凭は依几。坐几にもたれること。は腰かける形。処は金文に處に作り、虎形のものが几に依る形で、神霊の依る所をいう。〔玉〕になおの異文を加えるが、譌形である。

[声系]
〔説文〕に几声として肌・(飢)・机・など五字を収める。机は楡に似た木の名。もと几とは別の字であった。

[熟語]
几案・几・几閣几几几硯・几上几杖几席・几几頭几榻・几
[下接語]
案几・依几・倚几・椅几・隠几・几・曲几・玉几・書几・牀几・仍几・浄几・席几・俎几・素几・竹几几・凭几・舗几

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「几」の意味・わかりやすい解説


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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【机】より

…読書や物書きなどに使う文机(ふづくえ),仏前に置き香炉など載せる前机,経を読むときに使う経机,飲食物を載せて食事するのに使う食卓など各種ある。漢字ではもと几(き)と書き,これは脚付きの四角い台を描いた象形文字から発しているが,日本語の〈つくえ〉は〈坏居(つきう)え〉の意味で,元来は坏(食物を入れた器)を載せる食卓を意味している。後に文机や経机が出てくると,しだいに〈つくえ〉といえばこれらを指すようになったが,現在でも東大寺の修二会のときに僧たちが食事をするのには几形の食卓を用いており,二月堂机とよばれている。…

※「几」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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