(読み)アン

デジタル大辞泉 「案」の意味・読み・例文・類語

あん【案】

考え。計画。「を練る」
予想。推量。
文書の下書き。草案。「を提出する」
物を載せる台。机。
「此の経の―の前に立ちて」〈今昔・六・四五〉
[類語]原案たたき台代案対案試案腹案懸案法案草案私案素案成案決議案愚案新案良案妙案名案アイデア考え計画もくろみくわだはかりごと一計企図企画立案構想設計プランプロジェクト青写真筋書手の内予定もくろむたくらむ策するかくする

あん【案】[漢字項目]

[音]アン(呉)(漢)
学習漢字]4年
机。台。「案下あんか几案玉案
調べる。調べる事柄。「案件公案
考える。「案出考案思案創案
考えた内容。計画。「新案提案発案腹案翻案妙案名案
考えた内容を盛りこんだ下書き。「議案教案原案試案図案草案答案文案法案
難読案山子かかし

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「案」の意味・読み・例文・類語

あん【案】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物を載せる台。机。膳。楉案(しもとあん)書案、大案の類がある。案几(あんき)
    1. [初出の実例]「小将書初、敷左右座一枚、横有座、有案」(出典:後二条師通記‐寛治二年(1088)四月一七日)
    2. 「一の鹿有て、門を突て入来て、此の経の案の前に立て、頭を挙て舐(ねぶ)る」(出典:今昔物語集(1120頃か)六)
    3. [その他の文献]〔後漢書‐梁鴻伝〕
  3. 下書き。草案。あんじぶみ。あんしょ。あんもん。
    1. [初出の実例]「凡御体卜者、神祇官中臣率卜部等〈略〉神祇副若祐、持奏案、進大臣」(出典:延喜式(927)一一)
    2. 「かのあるじなる人、あんを書きて、かかせてやりけり」(出典:伊勢物語(10C前)一〇七)
  4. 控え書き。留め書き。
    1. [初出の実例]「凡案成者。具条納目」(出典:令義解(718)公式)
    2. 「わかさよりのかさねたるじゃう、又ゐんせんのあんひろう申候ぬ」(出典:東寺百合文書‐は・正和三年(1314)一〇月四日・僧頼尊奉書案)
  5. まだ確定していないで、調査や相談を要する事柄。計画。もくろみ。また、それを書いた文書。「案を立てる」「予算案」「議案」
    1. [初出の実例]「宮内大臣は〈略〉案を具へて上奏すべし」(出典:宮内省官制‐明治四〇年(1907)三条)
  6. 思案。考え。くふう。計略
    1. [初出の実例]「さ思はせんとたばかりたる事なれば、案にははかられにけり」(出典:栄花物語(1028‐92頃)初花)
    2. 「あん深き剛のものなれば」(出典:浄瑠璃・頼光跡目論(1661‐73頃)五)

あん‐じ【案】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「あんず」の連用形名詞化 )
  2. 思案。計画。工夫。
    1. [初出の実例]「その時は、とふ云あんじだろう」(出典:咄本・春袋(1777)水馬)
  3. 心配懸念。恐れ。
    1. [初出の実例]「たがいふとなくお耳に入それはそれはきついお案(アン)じ」(出典:浄瑠璃仮名手本忠臣蔵(1748)二)

あ【案】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「あん」の撥音が表記されなかったもの ) 前もって考えていたこと。予想。あん。
    1. [初出の実例]「あのごとく桐壺の御方より伝へて聞こえさせ給ひければ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「案」の意味・わかりやすい解説


あん
an

中国の机台や食盤のこと。長方形の板に概して短い足がつく。漆が施されているのが普通で,板上には菱形文,雲気文動物文などが描かれることがある。戦国時代古墓から出土している。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「案」の解説


あん

案文(あんもん)

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