出物(読み)デモノ

デジタル大辞泉 「出物」の意味・読み・例文・類語

で‐もの【出物】

売りに出されている中古品不動産など。「良い出物がある」
吹き出物。おでき。
おなら
客に出す料理。また、芝居茶屋客席の見物客に出す茶菓弁当
芝居などのだしもの。
「今宵よばれしお客の好み、―さらうて一心に」〈人・梅児誉美・後〉

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精選版 日本国語大辞典 「出物」の意味・読み・例文・類語

だし‐もの【出物】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 芝居や演芸興行などで、上演する作品。演目
    1. [初出の実例]「出し物に差支へて来ると能く陰陽の御噂を致します」(出典:落語・掛取(1896)〈四代目橘家円喬〉)
  3. ある役者が主役をして、芸の真価を発揮できるような作品。
  4. 能で、扮装(ふんそう)して舞台に登場する役柄。また、その登場人物。
  5. いかにも実際にありそうなつくりごと。作り話。うそ話。
    1. [初出の実例]「出(ダ)し物(モノ)、ありありとありさうなことをいいて座をもつ事也」(出典:洒落本・虚実柳巷方言(1794)中)
  6. だしに使われる者。手段・方便として利用される者。
    1. [初出の実例]「いやさどふいふ訳合でおれを出し者にする」(出典:洒落本・辰巳婦言(1798)四つ明の部)
  7. 外部に出しておくもの。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  8. ( 出す物の意から ) 食事。
    1. (イ) 吉原や岡場所の娼家で出すお定まりの飲食物。
      1. [初出の実例]「と出し物を持て二かいへ行、さあ、お上りなさへ」(出典:洒落本・寸南破良意(1775)髪結)
    2. (ロ) 料理。酒のさかな。
      1. [初出の実例]「給事の婢が不慣れなので〈略〉出し物も後れる」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二)

で‐もの【出物】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 吹出物。おでき。しゅもつ。〔いろは字(1559)〕
    1. [初出の実例]「ひぜんがさも出物なればうつる」(出典:咄本・百物語(1659)下)
  3. 屁。おなら。
    1. [初出の実例]「今爰へ尻が出物(デモノ)」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)五)
  4. 演劇・音楽・舞踊などの演目。だしもの。
    1. [初出の実例]「初日の出物(デモノ)は何だの 出物とは狂言のこと」(出典:滑稽本・狂言田舎操(1811)上)
  5. 客に出す料理。また、芝居茶屋から見物席へ出す料理。
    1. [初出の実例]「奥より巴屋新八出物を持て出て来り」(出典:歌舞伎・お染久松色読販(1813)序幕)
  6. とりたてて売りに出されたもの。いつも売られるものではなく、たまに売り出される中古品や、不動産、特売の品、思わぬ買得品など。
    1. [初出の実例]「間口七間といふのだから古(ふる)で然(そ)んな出物(デモノ)がない」(出典:落語・出世の鼻(1892)〈禽語楼小さん〉)

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