平安中期以後、本来は行政区域であった国を、一国または数国にわたって院(上皇・女院など)、宮(中宮・東宮など)に賜り、国を賜った国主(院・宮)が国司を推挙して正税官物(しょうぜいかんもつ)を徴収させた。これを分国といい、その制度を分国制という。源頼朝(よりとも)がもっていた関東御分国(ごぶんこく)も同種のものである。室町時代には、守護がその権限を拡大し、任命された国を所領化し自己の領国となし、守護大名となった。この守護大名の領国も分国とよばれる。さらに戦国大名によって分国の一円(いちえん)支配が強化されたが、この場合分国の範囲も数国にわたるものがあり、独自の法(分国法)までつくり、独立国の観を呈した。分国はやがて江戸時代の大名領国・藩として幕藩体制のなかに組み込まれていく。
[伊藤清郎]
1平安中期以降,律令制における国を知行の客体とする知行国の制が行われた。上皇・女院・中宮・親王の院宮(いんぐう)分国や摂関家などの知行国は御分国(ごぶんこく)ともいう。
2鎌倉幕府において,将軍家の知行国である関東御分国をさす。また鎌倉で訴訟・行政を決裁し,鎌倉番役を負担する遠江など15カ国を関東御分国とよぶこともある。
3室町時代,守護大名・戦国大名の支配する国・領域をさす。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…院分,皇后宮分などと指定された令制の国。908年(延喜8)宇多上皇の分国に充てられた信濃国を初見とし,ついで冷泉,円融,三条,後三条各上皇の分国が見えるが,院政期以降飛躍的に増大した。女院(によいん)の場合は,最初の女院,東三条院以下,上東門院,陽明門院など国母(天皇の生母)たる女院に分国が充てられたが,さらに白河上皇寵愛の皇女郁芳門院がこの恩典に浴してから女院一般に広まった。…
※「分国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新