分知(読み)ブンチ

デジタル大辞泉 「分知」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐ち【分知】

江戸時代大名旗本領地分割相続すること。幕府許可を要した。

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精選版 日本国語大辞典 「分知」の意味・読み・例文・類語

ぶん‐ち【分知】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代、知行子弟に分けること。大名や旗本・給人の知行(所領)を分割相続すること。
    1. [初出の実例]「公儀の御三家・他方の分知とはちがひ申候」(出典:葉隠(1716頃)五)

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改訂新版 世界大百科事典 「分知」の意味・わかりやすい解説

分知 (ぶんち)

所領の一部を親族に分与することを指し,分地とも書く。ことに,江戸時代の武士は上級領主将軍または大名)より所領を宛行(あてが)われたが,500石位以上の所領を有する武士は家名永続のため分家を創出するのが一般的であった。その際自己の所領の一部を分与し,独立した武士として幕府や藩に仕えさせるが,この分家を分知配当による分家という。分知には2種類あり,その一つは上級領主に公認されて正式に大名,旗本,藩士に取り立てられ,所領の宛行状を交付される場合と,上級領主に公認されながらも宛行状を交付されない場合とがある。通常前者狭義の分知で,後者内分(うちわけ)と称する。両者の差は,前者は完全独立の分家であり,内分は本家に対して半独立の状態で,願,届などは本家を通じてなされた。本家が断絶の場合ともに分家は存立を許されるが,分家が断絶したら前者は所領が没収されるのに対し,内分は本家に所領が還付されるなどの相違がある。
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百科事典マイペディア 「分知」の意味・わかりやすい解説

分知【ぶんち】

江戸時代,大名旗本・給人の知行を分割・相続すること。分地とも記す。将軍または大名から所領を与えられている武家のうち500石(こく)以上ほどの家では家名を永く残すために,所領を分与し,分家を興した。この場合,将軍や大名に公認されて大名・旗本・藩士として取り立てられ,宛行状(あてがいじょう)を公布されるのが狭義の分知で,公布されない場合を内分(うちわけ)という。内分は本家に対して半独立で,断絶しても分知家は所領を没収されるが,内分は本家に返されるという相違などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「分知」の意味・わかりやすい解説

分知
ぶんち

知行(ちぎょう)を分与すること。江戸時代、大名・旗本・家臣の領地(知行地、給地)は単独相続が原則で、分割相続(分知)は幕府・領主が許可した場合のみ可能であった。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分知」の意味・わかりやすい解説

分知
ぶんち

江戸時代,大名旗本の領地を分割相続したこと。幕府の規定では相続は原則として単独であったが (→嫡子単独相続 ) ,被相続人から願い出て幕府に許可されると分家もできた。

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